2024.04.30

危機管理

ロングドライブ症候群とは?危険性と対策について解説

ロングドライブ症候群と呼ばれる症状をご存知でしょうか? 車両の長距離運転後などに見られる症状であり、身体への様々な悪影響が懸念されています。
主に、蓄積した疲労が原因と考えられているロングドライブ症候群。この記事では、ロングドライブ症候群の具体的な特徴や危険性、対策について解説します。

目次

ロングドライブ症候群とは

車両の長距離運転後に起こる身体的な不調の総称です。具体的な症状は様々であり、「頭痛」や「めまい」、「吐き気」や「食欲減退」といった不調が一般的です。
 
ただし、必ずしも車両の運転後に発生するとは限りません。長時間同じ姿勢を維持しなければならない環境下では、ロングドライブ症候群と同様の症状が認められる可能性があります。

エコノミークラス症候群との違い

飛行機や車など、身動きが取りづらい空間に座り続けることで発症するエコノミークラス症候群。血流が滞り、血行不良によって発生した血栓が脚や肺に詰まることで深部静脈血栓症や肺塞栓などを誘発する症候群です。
 
エコノミークラス症候群とロングドライブ症候群は、似たような環境で引き起こされる不調です。ロングドライブ症候群が、エコノミークラス症候群に繋がる可能性も十分に考えられるのです。
 
〈参考〉厚生労働省 エコノミークラス症候群の予防のために

長距離運転によってストレスが溜まる原因

ロングドライブ症候群が引き起こされる原因の一つには、長距離運転による精神および身体的なストレスが挙げられます。運転による継続的な緊張状態や、同じ姿勢の継続が引き金となり、上記のような症状が発生します。多くのストレスをため込んでしまう原因は、以下の通りです。

①運転時の姿勢が悪い

運転中の姿勢は、疲労の増減に大きな影響を及ぼします。長時間同じ姿勢を維持するドライバーにとって、体に負荷の掛かる姿勢はストレスの大きな原因です。

②休息不足や休息方法の間違い

十分な休息の確保も、運転ストレス軽減にとって重要な要素です。また、休息の有無だけでなく、内容にも注力しましょう。運転ストレスを軽減するためには、心身の疲労を効率的に解消する施策が必要になります。

長距離運転が体に及ぼす影響

長距離運転ストレスが原因となる様々な悪影響。起こる可能性のある具体的な症状をまとめました。

 
           一般的な長距離運転疲労による影響
         症状          部位
体の痛み 首、肩、腕、脚、お尻など
眠気
疲労・倦怠感 全身
視界狭窄
 
 
 
           ロングドライブ症候群と思われる影響
         症状          部位
頭痛
めまい
吐き気 胃・腸
食欲減退 胃・腸
 
 
 
          エコノミークラス症候群と思われる影響
         症状          部位
血行不良 全身
肺塞栓症
深部静脈血栓症 脚など
 

ロングドライブ症候群の危険性

ロングドライブ症候群の症状を、放置してはいけません。長距離運転後に起こる頭痛やめまい、吐き気や食欲不振などが慢性化している際には注意が必要です。
 
慢性化したロングドライブ症候群は、さらなる体調悪化を誘発する可能性があります。無理な姿勢が常習化したことで体内に血栓ができれば、エコノミークラス症候群を発症するかもしれません。
 
エコノミークラス症候群によって引き起こる深部静脈血栓症や肺塞栓症は、呼吸困難や腹痛、失神などが認められ、時には心停止や突然死を引き起こす危険な病気です。
 
車両の長距離運転など、長時間にわたって同じ姿勢を維持しなければならない際には、ロングドライブ症候群や関連する症状の危険性を十分に意識する必要があります。

長距離運転における疲労対策

ロングドライブ症候群を防止するためには、日常的な予防対策が肝心です。長距離運転が必要になる方は、以下の対策を心がけましょう。

①正しい姿勢を維持する

運転中の姿勢は、疲労の有無に関わる重要な要素です。正しい姿勢を維持できれば、疲労の蓄積を軽減できるでしょう。
 
車の正しいドライビングポジション

  • ●シートに深く腰掛け、右足でアクセル・ブレーキペダルを踏んだ状態で、膝に少し余裕ができる位置
  • ●背中をシートバックにつけ、ハンドルの最上部に合わせた両手が伸びきらない位置
 
また、シートクッションや座布団など、運転中の姿勢矯正グッズを活用する方法も有効です。自分自身で上手に姿勢を維持できない方は、導入を検討してみましょう。

②休息の回数と内容を意識する

定期的な休息は、疲労回復にとって重要な対策です。物流業界などの長距離運転では、休息の時間やタイミングが法律で規定されています。法定基準を厳守し、正しい休息確保を意識してください。
 
対して、プライベートの長距離運転には注意が必要です。疲労を感じた際には、無理をせずに十分な休息を取りましょう。
 
また、休息は闇雲に取ればいいわけではありません。休息中には適度な運動や適度な栄養摂取を心がけ、できる限りのリフレッシュに努めましょう。

③こまめな水分補給

水分補給もおろそかにできません。長距離運転中はトイレを利用できない時間帯が長く、水分摂取を避ける傾向が強くなります。
 
水分が足りない状態が長時間続くと、体内の血液が固まり血栓の発生を誘発します。結果的に上述したような深部静脈血栓症や肺塞栓症のリスクが高まります。
 
長距離運転の際には、定期的な水分補給を心がけてください。補給の際には、利尿作用の高いお茶やコーヒーは避け、水や麦茶を選択すると良いでしょう。

④セルフマッサージやストレッチ

セルフマッサージやストレッチをする方法もおすすめです。深部静脈血栓症や肺塞栓症などの重篤な疾患は、体内の血液が固まって起こります。
 
かかとやふくらはぎなどを中心にマッサージやストレッチを行い、血流を促しましょう。固まった体をほぐし、全身に血液を行き渡らせてください。

まとめ

車両の運転は神経を使う繊細な作業です。長距離運転が必要なドライバーは、疲労などのストレスを感じやすいでしょう。蓄積した疲労はロングドライブ症候群を誘発し、さらに重篤な疾患を発症するリスクも孕んでいます。
車両の長距離運転をする際には、ロングドライブ症候群の危険性を把握し、正しい対策を実践してください。

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