2024.03.31

危機管理

交通事故が多い時間帯はいつ?発生率や防止策について

交通事故には、発生率の高い時間帯があることをご存知でしょうか? 様々な要因が絡み合って事故が多発する時間帯は、いつも以上に慎重な運転が求められます。交通事故のリスクを下げるためには、危険が伴う時間帯に対する知識や防止策を知っておかなければなりません。この記事では、交通事故が多い時間帯やその原因、事故の防止策について解説します。

目次

交通事故が多い時間帯は3つ

一日の中で交通事故が発生しやすいのは、「17時台」「18時台」「19時台」の3つの時間帯です。夕方にあたるこれらの時間帯は、全国的に交通事故の発生率が高く、警察庁は日の入前後1時間を「薄暮時間帯(はくぼじかんたい)」と名付けて注意を促しています。

薄暮時間帯の事故件数

警察庁は重大事故(死亡事故)の発生件数を、時間帯別に公表しています。統計を確認してみると、17〜19時台の薄暮時間帯における重大事故発生件数が突出している事実を確認できます。
 
時間帯別の死亡事故件数(平成29年〜令和3年合計値)

        時間帯       事故発生件数
        17時台        1,074件
        18時台        1,002件
        19時台        907件
        10時台        856件
        9時台        739件
※交通事故発生件数が多い時間帯上位5つに絞って記載

薄暮時間帯の事故内容

事故の当事者側の視点からみた交通事故は、「人対車両」「車両相互」「車両単独」の3種に分類されています。
 
一日の中で最も重大事故の多い薄暮時間帯の事故内容には「人対車両」の事故が多く、中でも「歩行者対自動車」の事故が全体の約半数を占めています。
 
これは、薄暮時間帯を除いた昼間や夜間の交通事故割合と比べても4倍近い数字であり、薄暮時間帯の交通事故最大の特徴といえる数字です。
 
事故内容別の時間あたり死亡事故件数比較(平成29年〜令和3年合計値)

    薄暮時間帯    昼間    夜間
自動車×歩行者 490.5件(49%) 136.7件(20%) 247.7件(45%)
自動車×自動車 104.0件(11%) 139.9件(20%) 61.2件(11%)
自動車×二輪車 80.5件(8%) 94.8件(14%) 47.1件(9%)
自動車×自転車 99.0件(10%) 86.0件(13%) 37.1件(7%)
その他の当事者同士 50.0件(5%) 20.0件(3%) 21.8件(4%)
車両単独 169.0件(17%) 208.5件(30%) 134.9件(25%)

〈参考〉政府広報オンライン 夕暮れ時に歩行者が死亡する交通事故が多発!

交通事故の多い月は「12月」

交通事故の発生件数は、年末にかけて増加する傾向にあります。平成29年〜令和4年までの6年間で、最も月別交通事故発生数が多いのはいずれも「12月」であり、次いで11月と10月となっています。12月の交通事故発生件数が、他の月に比べて多い理由は以下の通りです。

年末年始の帰省

12月は正月休みを利用して帰省する方の多い時期です。短い期間に集中して自動車の需要が増加し、帰省ラッシュによる渋滞などが多発します。必然的に、交通事故の発生率も増加するのです。

物流企業の繁忙期

物流業界にとって、12月中旬〜下旬は最も大きな繁忙期です。クリスマスや正月セール、福袋やお歳暮など、様々な商品の入・出荷および運送作業に追われます。
 
普段よりも過密なスケジュールで作業をこなすドライバーには疲労が蓄積し、交通事故リスクも増加します。

寒気による路面凍結

12月〜年明けにかけて、外気温が氷点下を記録した朝や積雪後には、路面が凍結します。冬季対策を怠った自動車による運転では、スリップや衝突などの交通事故リスクが高まります。
 
月別の交通事故発生件数推移(平成29年〜令和4年)

     10月    11月    12月
平成29年 343件 372件 381件
平成30年 338件 326件 410件
平成31年/令和元年 313件 328件 356件
令和2年 273件 280件 298件
令和3年 273件 251件 284件
令和4年 261件 252件 280件

薄暮時間帯に交通事故が多発する原因

薄暮時間帯に交通事故が多発するのは、偶然ではありません。具体的な原因を見ていきましょう。

①徐々に視界が悪くなるため

薄暮時間帯は、夕暮れの時間帯に該当します。日の入りの影響で徐々に暗くなる屋外は、時間と共に視界も悪くなります。
 
昼間から夜へ移行する薄暮時間帯の運転は、簡単ではありません。運転環境の変化についていけず、対向車や歩行者を見逃してしまったが故の交通事故が増加するのです。

②通勤・通学時間帯に重なっているため

薄暮時間帯に該当する日の入り前後の1時間は、仕事や学校を終えて帰宅する通勤・通学時間帯に重なっています。
 
10月〜12月の日の入り時間は、17時〜18時前後です。この時間帯の路上には、通勤・通学のための歩行者が多く確認できます。人の往来が増加する時間帯は、必然的に交通事故の発生数も増加します。

ドライバーができる薄暮時間帯の交通事故防止術

交通事故を起こさないためには、日々の防止対策が重要です。道路交通法の遵守を前提として、可能な対策を実践しましょう。以下に、効果的な方法を2つご紹介します。

早めに前照灯を点灯する

薄暮時間帯に差し掛かる前に前照灯を点灯し、良好な視界を確保しましょう。より鮮明な視界確保のためにはハイビーム(前照灯を上向きにする)が有効です。
 
前照灯を使用するメリットは、視界の確保だけではありません。光線により、対向車や歩行者に対して自身の存在を知らせることができます。運転の際には、前照灯を有効活用してください。

昼間より運転速度を抑える

薄暮時間帯は、運転感覚が鈍くなります。いつもと同じように運転しているつもりでも、自覚している以上の速度で運転してしまう可能性があるのです。
 
薄暮時間帯に自動車を運転する際には、意識的に速度を抑えた運転を心がけてください。
 
〈参考〉警察庁 薄暮時間帯における交通事故防止

まとめ

一日の中で最も交通事故発生件数の多い時間帯を、薄暮時間帯と呼びます。薄暮時間帯に自動車を運転する際には、普段以上に危険が伴います。交通事故防止のためには、薄暮時間帯における運転の危険性を正しく認識し、安全運転を遵守しなければなりません。

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