2022.11.24
危機管理
制動距離とは?空走距離や停止距離との違いを解説
目次
制動距離とは、走行中の車を停止させる際、ブレーキが効き始めてから車が停止するまでの間に進んでしまう距離のことです。
運転中に危険を察知してから、完全に車を停止するまでには数秒ですが時間がかかりますよね。
つまり、危険を察知してからブレーキを踏んで、車が止まるまでには、車が何メートルか進んでいることになります。
『制動距離』と似た用語で『空走距離』『停止距離』があります。それぞれ違いがあり、意味合いも変わってきます。この記事では、制動距離の意味と使い方を解説していきます。制動距離とは
制動距離とは、『ブレーキが効き始めてから、車が完全に停止するまでの距離』のことです。
制動とは、ブレーキングのことを言います。ブレーキを踏んでも、車はピタッと止まるわけではありませんよね。ブレーキを強く踏めば踏むほど制動距離は短くなりますし、緩く踏めば制動距離は長くなります。
空走距離とは
空走距離はブレーキを踏む前の「ドライバーが危ないと感じたタイミング」から始まっている距離です。以下の一連の流れが空走距離を表しています。
ドライバーが危険を感じた地点→ブレーキを踏む→ブレーキが効き始めるまでの距離
ドライバーが「危ない!」と感じてからブレーキを踏み、さらにそのブレーキが効き始めるまでにはタイムラグが生じます。そのタイムラグで進む時間が空走距離で、この間の制動措置を取るまでにかかる時間を『反応時間(空き時間)』と言います。
停止距離とは
停止距離とは、空走距離と制動距離を合わせた距離です。前述までの解説を元に、制動距離と空走距離の違いを説明すると以下の通りです。
- 空走距離:ドライバーが危険を察知してブレーキが効き始めるまでの距離
- 制動距離:ブレーキが効き始めてから車が止まるまでの距離
つまり停止距離とは、『ドライバーが危険を察知して車が止まるまでの距離』になります。
『停止距離=空走距離+制動距離』と覚えて貰えれば大丈夫です。
制動距離と空走距離の計算と目安
制動距離と空走距離の計算方法ですが、簡潔に説明すると以下の通りになります。
【各距離の計算】
- 空走距離:車の速度に比例する。時速が2倍になれば空走距離も2倍に、時速が3倍になれば空走距離も3倍になる(時速が10km増えるごとに空走距離は約2.8m増える、とも言われている)。
- 制動距離:車の速度の2乗に比例する。時速が2倍になれば制動距離は4倍に、時速が3倍になれば制動距離は9倍になる。
- 停止距離:空走距離+制動距離
参考になりますが『時速と空走距離・制動距離・停止距離の関係』は、以下の通りに表すのが一般的です。
【時速と各距離の目安】
※この表はあくまで目安のため、実際に計算すると多少の誤差が出ることがあります。
※制動距離と空走距離の実際の数値は、摩擦係数などによりもっと細かくなります。
停止距離の簡単な計算式
ちなみに、停止距離の目安を簡単に求めたい場合は、以下の計算式で求められます。
【停止距離(目安)の計算式】
- 時速20km:2×(2+1)+2=8m
- 時速30km:3×(3+1)+2=14m
- 時速40km:4×(4+1)+2=22m
- 時速50km:5×(5+1)+2=32m
- 時速60km:6×(6+1)+2=44m
- 時速70km:7×(7+1)+2=58m
- 時速80km:8×(8+1)+2=74m
- 時速90km:9×(9+1)+2=92m
- 時速100km:10×(10+1)+2=112m
上の表と必ずピッタリ…とはなりませんし条件によって違いますが、「停止距離はこの計算方法でだいたい分かる。」と覚えていただければ大丈夫です。
制動距離が長くなってしまう条件
制動距離は、ブレーキの踏み込みの強さで決まります。前述の表は、あくまでブレーキを強く踏んだときの数値です。
とはいえ、必ずしも表の通りの制動距離になるのかというと、そうならない場合がほとんどでしょう。
というのも前述の表は、あくまでタイヤの状態が良く路面が乾燥している状態に限ります。
そのため、以下のような条件では、制動距離は実際に長くなってしまうので注意してください。
- 雨などで路面が濡れている場合
- 寒さにより路面が凍結している場合
- 砂利道などアスファルトよりも滑りやすい路面の場合
- タイヤが擦り減っており滑りやすい場合
これらの条件では摩擦係数が低くなり、制動距離が長くなります。周囲の状況に注意しながら早めにブレーキを踏める状態にしなければいけません。
また、疲労などで頭がボーっとしている場合は、危険を察知するのに時間がかかるため、空走距離が長くなるでしょう。
まとめ
簡潔ではありますが、制動距離・空走距離・停止距離について解説してきました。自動車教習所などで習うこともありますが、気になった人は今回 紹介した計算方法や表を参考にしてくださいね。