2022.06.03
飲酒対策
アルコールが運転に及ぼす影響とは? 事故を未然に防ぐために
目次
日本国内において、飲酒運転は法律違反であり厳罰に処されます。
飲酒運転の刑罰が強化されてきた背景には、アルコールが人体に与える影響が大きく関係しています。
飲酒運転事故が原因となり発生した重大事故は、大きな社会問題の一つです。
この記事では、アルコール が運転に及ぼす影響や、運転者の意識について解説します。
アルコールが運転に及ぼす影響
アルコールが運転に及ぼす影響を知るためには、飲酒によって生じる人体の変化について知る必要があります。
酔いについて
飲酒により吸収されたアルコールは、血液に溶けて全身に運ばれていきます。血液に乗って脳内に運ばれたアルコールは神経に作用し、正常な認知機能や身体運動機能を奪うのです。
血液に溶けたアルコールは、血中アルコール濃度と呼ばれる数字で表されます。血中アルコール濃度の数字により現れる症状は異なり、濃度が高ければ高いほど酔いの状態は深刻です。
酔いの状態は、血中アルコール濃度によっていくつかの段階に区分することができます。
血中アルコール濃度の区分(数字はおおよその目安)
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爽快期:血中アルコール濃度「0.02〜0.04(%)」「0.2〜0.4(mg/ml)」
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ほろ酔い期:血中アルコール濃度「0.05〜0.10(%)」「0.5〜1.0(mg/ml)」
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酩酊初期:血中アルコール濃度「0.11〜0.15(%)」「1.1〜1.5(mg/ml)」
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酩酊極期:血中アルコール濃度「0.16〜0.30(%)」「1.6〜3.0(mg/ml)」
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泥酔期:血中アルコール濃度「0.31〜0.40(%)」「3.1〜4.0(mg/ml)」
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昏睡期:血中アルコール濃度「0.41〜(%)」「4.1〜(mg/ml)」
運転に対する影響
運転時における血中アルコール濃度は「0」が望ましく、アルコールが原因となって発生するなんらかの機能障害は、爽快期:血中アルコール濃度「0.02〜0.04(%)」「0.2〜0.4(mg/ml)」から発生することがわかっています。
想定される人体の機能障害
アルコールの影響により発生する主な障害は、以下の通りです。
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集中力の欠如:運転に意識が向かず、集中力が散漫になる
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動体視力の低下:全体的な判断力の低下。道路標識や歩行者、車に対する認識や見極めの遅れ
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視野の狭窄:運転中に必要な広い視野が維持できなくなる。視点が固定されてしまう
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ハンドル操作の誤り:運転技術の低下。信号無視やスピード超過、蛇行運転、一時不停止など
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意識の混濁:運転に必要な正常な意識が保てなくなる
重大な事故の可能性
アルコールは、運転者から正常な認知機能や身体運動機能を奪います。飲酒による事故は、死亡事故など重大な結果を招く可能性が高く、過去には飲酒運転が原因となった重大な事故がいくつも発生しています。
中でも、1999年(平成11年)の東名高速飲酒運転事故、2006年(平成18年)の福岡海の中道大橋飲酒運転事故は、後に制定された危険運転致死傷罪や、自動車運転過失致死傷罪成立のきっかけとなった重大飲酒事故です。
「少量だから大丈夫」は誤解
現行の法律における飲酒運転は、呼気中のアルコール濃度によって行政処分が決定します。
道路交通法における飲酒運転の取締り基準
酒気帯び運転の基準は厳格
行政処分の対象となる酒気帯び運転の基準は、呼気1リットル中のアルコール濃度0.15mgです。これはビールでは中びん1本、日本酒では1合、ウイスキーではシングル2杯程度を飲酒した際の血中アルコール濃度に相当します。
酒気帯び運転の基準となる飲酒量は、想像以上に少ないです。飲酒が習慣になっている方や飲み会の席などであれば、簡単に基準となる飲酒量を超過してしまうかもしれません。
また、当事者の体質や体調によっても、血中及び呼気中のアルコール濃度は変化します。
運転が必要になる際の飲酒は、たとえ少量であっても控えなくてはなりません。
〈参考〉警察庁 みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」
飲んだら乗らない意識と、アルコールチェックの大切さ
体内に吸収されたアルコールの分解には、時間が掛かります。自らの感覚や経験のみによって、正確な血中アルコール濃度を把握することはできません。少量でもアルコールを口にする際には、絶対に運転しないという強い意識が重要です。
また、現行の法律では飲酒運転の当事者以外にも、車両等を提供した者及び酒類を提供した者、または車両に同乗した者も罰則の対象となります。飲酒の際には、自分自身や周囲の人間にも気を配らなくてはなりません。
アルコールチェックをしよう
令和4年の4月より、安全運転管理者選任事業所は、業務で車両を運転する際のアルコールチェックが義務化されています。しかし、現行の法律では、すべての運転者に対するアルコールチェックの義務化には至っていません。
私的に車を運転する際には、自分自身で飲酒の有無を判断しなければなりません。アルコールチェッカー (検知器)は、主に呼気を吹きかけることで体内のアルコール濃度を測ることのできる機器です。
アルコールチェッカーには、業務用と市販用が製品化されており、市販用であれば手軽に購入することができます。
市販用のアルコールチェッカーは業務用に比べ安価であり、誰でもアルコール濃度を測ることが可能です。所持しておくことで、飲酒運転の抑止力となることは間違いないでしょう。
まとめ
アルコールが運転に及ぼす影響は計り知れません。飲酒運転による事故がなくならない理由は、運転者や周囲の関係者がアルコールの影響を軽視していることが最大の原因でしょう。
飲酒運転撲滅のためには、一人ひとりが飲んだら乗らない意識を持ち、正しい行動を遵守することが求められます。