2022.04.19

危機管理

数字で見る飲酒運転の実態|事故件数と死亡事故割合について

目次

飲酒運転事故は、深刻な社会問題の一つです。
日本国内では度重なる飲酒運転事故に対し、道路交通法をはじめとする関連法令の改正・施行することで事故防止に取り組んできました。
飲酒による事故件数は減少傾向にありますが、危険な事故は定期的に発生していることも事実です。

この記事では、近年における事故の件数や割合から、飲酒運転の実態を解説します。

飲酒運転の事故件数

飲酒運転の実態を知るには、正確な事故件数の推移を理解しておく必要があります。警察庁の公式HPでは、飲酒運転による事故件数の統計資料を公開しています。警察庁のデータに基づき作成した統計は、以下の通りです。

 

2011〜2021年(平成23〜令和3年)における原付以上運転者(第1当事者)の飲酒運転による事故件数の推移

 

発生年

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

2016年

2017年

2018年

2019年

2020年

2021年

飲酒あり

5,030

4,605

4,334

4,155

3,864

3,757

3,582

3,355

3,047

2,522

2,198

※飲酒あり(酒酔い・酒気帯び(0,25以上・酒気帯び0,25未満・基準以下・検知不能)

 

警察庁が公開している資料によると、2011年から2021年までの11年間における飲酒運転の事故発生件数は、年々減少していることがわかります。2021年における飲酒運転の発生件数は2,198件であり、近年では最も低い数字となっています。

 

しかし、ここ数年の減少幅は変動が少なく、飲酒運転根絶には至っていません。上述の資料は警察庁が交通事故として認識した件数であり、発覚・摘発されていない飲酒運転の実態が少なからず存在することを考慮すれば、決して安心できる数字ではありません。

〈参考〉警察庁 飲酒運転による交通事故件数の推移

飲酒運転による死亡事故の割合

飲酒運転による事故の中でも、特に重大な事故である死亡事故について、具体的な数字を見ていきましょう。こちらも飲酒運転の事故件数と同様に、警察庁が公開している資料に基づいた統計を記載します。

 

2011〜2021年(平成23〜令和3年)における原付以上運転者(第1当事者)の飲酒あり死亡事故件数の推移

 

発生年

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

2016年

2017年

2018年

2019年

2020年

2021年

飲酒あり

270

258

238

227

201

213

204

198

176

159

152

※飲酒あり(酒酔い・酒気帯び(0,25以上・酒気帯び0,25未満・基準以下・検知不能)

 

日本国内の飲酒運転による死亡事故の発生件数は、2000年の1,276件をピークに、2021年に至るまで減少を続けています。死亡事故減少の背景には、度重なる法律の新設や改正、厳罰化の存在があり、一定の効果を認めることができます。

 

中でも、2001年に新設された危険運転致死傷罪、2007年に施行された改正道路交通法による飲酒運転及び助長行為の厳罰化後には、死亡事故件数が大きく減少しています。

 

過去20年余りの飲酒運転による死亡件数は、減少を続けています。しかし、上述の改正道路交通法施行後の減少幅は緩やかであり、最近10年の死亡事故件数に大きな変化は見られません。
 

〈参考〉警察庁 飲酒運転による死亡事故件数の推移 

飲酒運転が招く事故は重大事故であることが多い

飲酒運転による事故は、重大な結果を招く可能性が高いことが分かっています。最大の理由には、アルコールによる判断能力の低下を挙げることができます。

 

飲酒の影響により血中のアルコール濃度が増すことで、脳内の様々な機能に支障が発生します。正常な判断力や記憶力、物理的な身体能力などが著しく低下する中で、車両を正確に運転することはできません。

 

飲酒状態の運転では、アクセルとブレーキの踏み間違いや、一時不停止、スピード超過など、多くの共通する傾向が認められています。これらの傾向は、人身事故などの重大事故に繋がる原因になり得るのです。

 

警察庁は、飲酒の有無による死亡事故率を比較した資料を公開しています。資料によると、2021年(令和3年)における死亡事故率は、飲酒なしの死亡事故「0.75%」に対し、飲酒ありの死亡事故「6.92%」となりました。

 

飲酒運転の死亡率は飲酒なしに比べ「約9.2倍」であり、飲酒運転の危険性が改めて証明される結果となっています。

 

〈参考〉警察庁 みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」

「絶対に運転しない・させない」という意識が大切

飲酒は自分自身の意思による行為ですから、当事者自身は飲酒の自覚を持っています。しかし、それでも飲酒運転が発生してしまう理由には、飲酒運転の危険性に対する認識の甘さを挙げることができるでしょう。

 

アルコールを体から完全に抜くためには、相応の時間が必要です。飲酒の当事者は飲酒量や体の調子を自己判断せず、少しでもアルコールを口にしたならば、決して運転しないという強い意思を持たなければなりません。

 

また、飲酒運転が発覚した際には、運転者のみならず車両の提供者や同乗者にも厳しい罰が課せられます。飲酒の際には、運転者本人及び周囲の人間すべてが、「運転しない・させない」意識を徹底しましょう。

まとめ

飲酒運転は法律違反です。違反した者は、厳しい処分を課せられます。死亡事故やひき逃げ事故を起こした際には、自分自身のみならず、第三者の人生をも奪ってしまう極めて危険な行為です。

 

飲酒の習慣がある方は「絶対に運転しない・させない」を徹底し、安全運転を実践しましょう。

BACK TO LIST

KEYWORD キーワード