2023.12.27
運送業界
大型自動車免許を取得する流れとは? 条件や費用・教習内容について解説
道路交通法で規定されている大型自動車(主にトラックなど)を運転するためには、大型自動車専用の免許取得が必要です。主に物流・旅客運送業などに従事する際に求められる大型免許。この記事では、大型免許取得を検討している方へ向け、取得条件や方法、費用、教習の流れを具体的に解説します。
目次
大型自動車の定義
日本における自動車の種別や種類は、国土交通省が所管する「道路運送車両に関する法律(車両法)」と、警察庁が所管する「道路交通に関する法律(道路交通法)」によって決められています。車両法と道交法における大型自動車の定義は以下の通りです。
大型自動車の定義 | |
道路運送車両に関する法律(車両法) | 普通自動車(小型自動車・軽自動車・大型・小型特殊自動車以外の自動車・3ナンバーの乗用車・トラックなど |
道路交通に関する法律(道路交通法) | 車両総重量11トン以上、または最大積載量6.5トン以上の自動車、乗車定員30人以上の自動車(いずれか1つでも満たした車両) |
〈参考〉全日本トラック協会 車種区分
大型自動車免許の種類と違い
大型自動車免許には、「第一種」と「第二種」の2種類が存在します。第一種免許は、主に荷物の運搬に使用する車両(トラックやダンプカーなど)の運転に必要な免許です。
対して、第二種免許は乗客を乗せる車両(路線バスなど)の運転に必要な免許であり、旅客運送事業などに従事する際に使用します。
第一種と第二種免許の取得方法に大きな違いはありません。ただし、乗客を乗せて運転することを前提としている第二種免許は、取得難易度が高く設定されています。
大型自動車免許取得の条件と方法
大型自動車免許を取得するためには、前提となる条件があります。あらかじめ条件を満たしていなければ、免許を取得することはできません。
大型自動車免許の取得条件
年齢 | 満21歳以上であること(※19歳以上であり、中型・準中型・普通・大型特殊免許のいずれかの所持期間が1年以上(免許停止期間は除く)あれば受験可能 |
免許等 | 普通自動車免許・準中型免許・中型免許・大型特殊免許のいずれかを取得しており、通算運転経歴が3年以上であること(免許停止期間は除く) |
身体 | ・視力が両目で0.8以上、かつ片目で0.5以上(眼鏡・コンタクト可) ・奥行知覚検査器による深視力検査(2.5メートルの距離で3回)の誤差が2センチメートル以内であること ・信号機の3色(赤・青・黄)が識別可能 ・10メートル以上の距離で90dBの警報機の音が聞こえる ・自動車の運転に支障をきたす身体障害がない |
大型自動車免許の取得方法
大型自動車免許を取得する方法は以下の2つです。
①指定の自動車教習所へ入校(合宿含む)し、技能卒業試験に合格する
普通免許と同様に自動車教習所へ通い、所定の学科・技能教習を経て免許を取得します。ただし、大型自動車免許を取得できる教習所の数は限られており、入校の際には注意が必要です。
通学できる範囲に大型自動車免許を取得できる教習所がない場合には、合宿などを利用する方法が良いでしょう。一般的な合宿免許では、料金システムがパック料金になっている事例(教習費用や宿泊施設料、交通費などがセット)が多く、コストパフォーマンスが良い点がメリットです。
②運転免許試験場で技能試験に合格する(一発試験)
通称「一発試験」と呼ばれる方法です。教習所へは通わず、免許試験場(免許センター)で仮免許試験と本試験を受験します。
教習所の講習を受ける必要がないため、費用や時間を節約できるメリットがあります。ただし、十分な運転経験がない状態における試験の難易度は高く、初心者向きではありません。
なんらかの理由で免許を失効した場合など、運転技術や知識に自信がある方におすすめの方法です。
教習や試験の流れ
大型自動車免許取得には決まった流れがあります。免許取得までの具体的な順序を確認しておきましょう。
自動車教習所へ通う場合
- 1.教習所へ入校
- 2.学科・技能教習を受講(所持している免許により教習の時間は異なる)
- 3.卒業検定
- 4.本試験(適性検査)
- 5.免許証交付
運転免許試験場で技能試験を受験する場合
- 1.一発試験を受験
- 2.仮免許試験(適性検査・仮免許試験・路上練習)
- 3.本試験(適性検査・技能試験)
- 4.応急救護講習・取得時講習
- 5.免許証交付
大型自動車免許取得に必要な費用
大型免許の取得に必要な費用は、所得方法や所持している免許の種類によって異なります。平均的な費用相場をまとめました。
自動車教習所に通う場合の費用相場
所持している免許の種類 | 費用相場 |
中型免許所持の場合 | 25万円程度 |
準中型免許所持の場合 | 30万円程度 |
普通免許所持の場合 | 35万円程度 |
運転免許試験場で技能試験を受験する場合の費用相場
費用内訳 | 費用相場 |
仮免許試験(受験料・試験車使用料・仮免許交付手数料など) | 5,000〜6,000円程度 |
本試験(受験料・試験車使用料・免許証交付料・講習受験料など) | 3,0000円程度 |
合計 | 3,5000円程度 |
大型自動車免許取得に利用できる助成制度
厚生労働省は運送事業に従事するドライバーの育成・確保の一環として、大型自動車免許取得に関する各種助成制度を設けています。制度をうまく利用できれば、大型自動車免許取得に必要な費用負担を軽減できるでしょう。
教育訓練給付制度
労働者の能力開発やキャリア形成を支援し、就職や雇用の安定を目的とした制度です。厚生労働省が指定した講座を受講することで、受講費用の一部が給付金として支給されます。
対象講座の中には輸送や機械運転関係の資格もあり、大型自動車第一種・第二種免許は給付金の対象となっています。
人材開発支援助成金
事業主が雇用中の労働者に対し、厚生労働省が認定する職務に関連した教育・職業訓練などを実施した場合に訓練経費の一部を助成する制度です。
助成金の対象となる教育・職業訓練は様々ですが、大型免許の取得は対象項目に含まれています。
〈参考〉厚生労働省 教育訓練給付制度
厚生労働省 人材開発支援助成金
まとめ
大型自動車免許は、物流運送業界で働く上で有利な資格です。ただし、免許取得のためには前提となる条件をクリアしなければなりません。大型自動車免許取得を検討している方は、条件を確認した上で自分自身にあった方法を選択しましょう。