2023.11.29
飲酒対策
タクシードライバーにアルコールチェックは必須!業界の飲酒基準や法律を解説
タクシー運転手として業務に従事するためには、アルコールチェックが必要であることをご存知でしょうか?法律によって定められているタクシー運転手の飲酒基準。この記事では、これからタクシー運転手を目指す方や、業界に転職を考えている方へ向け、タクシー運転手のアルコールチェック義務について解説します。
目次
アルコールチェック義務化の範囲
貨物・旅客運送業に従事する緑ナンバー(事業用事業者が使用するナンバー)車両(タクシー・バス・トラックなど)には、アルコールチェックが義務付けられています。個人タクシーや、貨物軽自動車も例外ではありません。
2022年には、白ナンバー(自家用自動車が使用するナンバー)にも義務化が拡大。(規定の台数以上を保有する事業者が対象)2023年12月からは、「アルコールチェッカーによる酒気帯び確認」の義務化が決定しています。
これからタクシー運転手として業務に従事するためには、日々のアルコールチェックが欠かせません。
タクシー運転手(緑ナンバー事業者)の飲酒基準について
タクシー運転手の飲酒基準は、一般車両と異なります。一般車両における酒気帯び運転の基準は0.15mg/l以上に設定されていますが、タクシー運転手の飲酒基準では0.15mg/l未満でも飲酒扱いとなり、業務に従事することができません。
タクシー運転手と一般車両の飲酒基準の違い
タクシー運転手 | 0.15mg/l未満でも業務禁止 |
一般車両の運転手 |
呼気中アルコール濃度0.15mg/l以上0.25mg/l未満 |
呼気中アルコール濃度0.25mg/l以上 |
行政処分や罰則
体内のアルコール基準値が上述の範囲を超えた場合には、飲酒運転として行政処分や罰則が課せられます。タクシー運転手も例外ではありません。
行政処分 | ||
酒気帯び運転 (呼気中アルコール濃度0.15mg/l以上0.25mg/l未満) |
基礎点数13点 | 免許停止(90日間) |
酒気帯び運転 (呼気中アルコール濃度0.25mg/l以上) |
基礎点数25点 | 免許取消し(欠格期間2年) |
酒酔い運転 | 基礎点数35点 | 免許取消し(欠格期間3年) |
罰則 | |
酒気帯び運転 | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金(運転者本人) |
酒酔い運転 | 5年以下の懲役または100万円以下の罰金(運転者本人) |
〈参考〉警察庁 みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」
アルコールが抜けなかったら
タクシーの運転手に課せられる飲酒基準は、一般車両の運転手に比べて厳しく設定されています。一般車両を運転する際の感覚で飲酒を行った場合、体内に残っていたアルコールが原因で、業務に従事できない可能性に留意が必要です。
酒気帯び運転の基準値に該当する呼気中のアルコール濃度0.15mg/lは、ビールの中瓶1本、日本酒1合程度の飲酒量に相当します。飲み会の席や日常の飲酒によって、摂取していても不自然ではない量です。
厳格な飲酒基準が設けられているタクシー運転手では、一般車両に比べてより高い飲酒意識が求められます。ほんのわずかなアルコール摂取でも、基準に抵触してしまうかもしれないのです。
運送業界のアルコールチェックは、一般的に業務前と業務後に行われます。業務の当日や前日の飲酒の影響が残っていれば、タクシーに乗車することはできません。
業務前にアルコールを摂取した場合には、十分な時間を置き、体内からアルコール成分を排出する必要があります。
体内のアルコールが抜けるまでの時間
休日や非番の際にアルコールを摂取する場合には、体内からアルコールが抜けるまでの時間を把握しておかなければなりません。おおよその時間を認識しておくことで、飲酒運転防止に繋がります。
体内からアルコールが抜けるまでの時間には、目安となる基準があります。ただし、体質や体調、年齢などによって、多少の個人差が生じます。
体重60kg前後の成人男性を想定した飲酒量とアルコール排出までの時間
酒類 | 飲酒量 | 抜けるまでの時間 |
ビール | 中瓶(500ml) | 平均3〜4時間程度 |
日本酒 | 1合(180ml) | 平均3〜4時間程度 |
厚生労働省は、タクシー運転手の改善基準告示の中で、休息期間について「継続11時間以上を基本とし、9時間を下回らない」ようにと言及しています。
飲酒からタクシー乗車までの間隔を9時間と想定した場合、上述のアルコールが抜けるまでの時間を元にした試算では、ビールでは中瓶2本、日本酒では2合以上の飲酒は危険です。
また、個人差を考慮すれば、アルコールの分解能力が低い方や酒類次第では、より長い時間を必要とする可能性もあるでしょう。
〈参考〉厚生労働省 ハイヤー・タクシー運転者の改善基準告示
自分自身のアルコール耐性を把握しておこう
飲酒の習慣がある方は、自分自身のアルコール耐性を把握しておきましょう。アルコールが体内から抜けるまでに必要な時間は、以下の計算式から求めることが可能です。
「※純アルコール量(g)」÷「体重×0.1」=「アルコール処理に必要な時間」
※酒類に含まれる純粋なアルコールの量。各商品のラベルにある栄養成分表示欄に記載されている
また、各都道府県の警察公式HPや、飲酒運転撲滅を目的とした活動法人サイトなどには、手軽に使用できるアプリやシュミレーターが提供されています。自分自身のアルコール耐性や、アルコールが抜けるまでの時間を把握していない方は、ぜひ試してみましょう。
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まとめ
タクシー運転手にとって日々のアルコールチェックは必須であり、一般車両以上に厳格な基準が設けられています。勤務直前にアルコール反応が出てしまった場合には、タクシー乗務はできません。タクシー業界での就労や転職を検討している方は、飲酒の基準や法律を正確に把握しておきましょう。