更新日:2025.09.03
飲酒対策
飲酒運転による死亡事故の場合、加害者の慰謝料・賠償金はいくらになる?
飲酒運転による交通事故は悲惨で、特に死亡事故の場合には被害者遺族に深刻な経済的、精神的苦痛をもたらす、極めて悪質な交通犯罪です。
飲酒運転は、法律により禁止されているのですが、それにもかかわらず、飲酒して車を運転する行為は、法令を無視した悪質で危険な行為です。特に酒に酔って正常に運転ができない状態になった酒酔い運転の場合、過失というよりも「故意犯」であるという考え方もあり、「危険運転致死罪」が設けられたのです。
交通事故により人を死傷させると民法の不法行為責任を負うことになります。この民事上の損害賠償請求事案においても、飲酒運転で交通事故を起こした場合の運転者(加害者)の責任は重大であり、損害賠償額の算定にあたって、慰謝料などについて、一般的な交通事故と比較して増額請求される傾向があります。その結果、重大な責任ががる場合など一定の要件に該当する場合に、裁判では高額な慰謝料などが認められるケースがあります。
今回の記事では、飲酒運転で死亡事故を起こした加害者の責任を中心に、慰謝料の金額について解説していきます。
目次
飲酒運転で死亡事故を起こした加害者の責任
飲酒運転で事故を起こした加害者は、刑事上、民事上、行政上と3つの責任を負わなければいけません。
刑事上の責任
飲酒運転で死亡事故を起こした場合、加害者は「危険運転致死罪」に該当する可能性が高いです。
「危険運転致死傷罪」の適用対象となる行為類型はいくつかありますが、アルコールや薬物の影響により正常な運転ができない状態で自動車を走行させた場合にはこれに該当します。
酒酔い運転で危険運転致死罪に該当する場合の罰則は「1年以上の有期拘禁刑」です。
参考:自動車運転死傷行為処罰法・第2条
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民事上の責任
飲酒運転による死亡事故を起こした加害者は、刑事上とは別に民事上の損害賠償責任を負います。
被害者遺族から、死亡慰謝料や葬儀費用、逸失利益などの損害賠償金を請求され、これを支払うことになるが高額になるので個人が支払える金額ではありません。
飲酒運転の場合、加害者が保険に加入していれば保険金による補償が行われますが、契約内容によっては支払わないこともあるため注意が必要です。
行政上の責任
飲酒運転による死亡事故を起こした加害者は、行政上の責任として運転免許の取消処分を受けます。
死亡事故を引き起こした場合は、違反行為者の不注意によって発生したものである場合、付加点数が20点、それ以外は13点が加算されます。
酒気帯び運転の場合には、そこに基礎点数が0.15mg/L以上0.25mg/L未満でも13点、そこに何らかの違反行為の点数も加算されますので最低でも27点の加算となり、免許取消(欠格期間2年)となります。
酒酔い運転の場合、基礎点数として35点、付加点数として最低でも13点と何らかの違反行為としての加算も加味すると49点の加算となりますので免許取消(欠格期間5年)となります。
関連記事:酒気帯び運転とは?酒酔い運転との違いやそれぞれの基準値と罰則もあわせて解説 | SAFETY LIFE MEDIA
実例|過去には飲酒運転による死亡事故で慰謝料が増額されたケースがある
飲酒運転による死亡事故の場合、裁判所が被害者等からの通常より高額な慰謝料の請求を認める可能性が高いです。加害者の飲酒運転を考慮して、慰謝料と認めた判例を上げておきます。
| 大阪地裁・令和2年2月26日判決 自転車で走行中に駐車場から進出してきた飲酒運転被告車に衝突されて死亡した24歳女子およびその家族に対して、被告人が飲酒運転中に発生させたもので、肉体的精神的苦痛は大きいとして慰謝料2,800万円認め、母親250万円、弟100万円の固有慰謝料を認定した。 引用:自保ジャーナル2068号(令和2年8月27日発行) |
ただし、これは一例であり、すべてのケースで同様の判断がされるわけではありません。
自動車保険の補償が制限される?
飲酒運転による交通事故では、自動車保険等の補償において、飲酒した運転者(加害者)本人に対する補償が大きく制限される可能性が高いです。
一般的に、自賠責保険や自動車保険の対人・対物賠償責任保険は被害者救済のために支払われるもので、人身傷害保険や車両保険については運転者の酒酔い運転や重大な過失によって生じた場合にはが免責事由に該当し基本的には補償されず保険金が支払われません。
なお、具体的な補償範囲等は保険会社の約款によって異なります。また、人身傷害保険や搭乗者傷害保険の場合に、運転者が飲酒していることを認識しながら同乗していた場合の補償額は、減額されるなどの影響が出ることがあるので、契約している保険会社や約款を確認しておきましょう。
関連記事:飲酒運転加害者に対する保険の有無は?補償内容や適用範囲を解説 | SAFETY LIFE MEDIA
まとめ
飲酒運転は法令で禁止されています。もし、飲酒運転で死亡事故を起こすと、厳しい刑事罰や運転免許の行政処分の対象となるほか、民事上も不法行為責任が追及され、高額の慰謝料などを請求されることがあります。
飲酒運転は認知、判断、行動という運転に必要な能力が低下するため、事故を起こすリスクが高くなります。死亡事故を起こすと、被害者家族に多大な精神的苦痛を与えるとともに、運転者自身はもとより家族などにも大きな経済的精神的な負担を課すことなります。
飲酒運転は絶対にやめましょう。他人の命を奪う深刻なリスクがあります。