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2023.10.31

危機管理

トラック事業における名義貸し(ナンバー貸し)は違法!罰則や行政処分について解説

トラック運送業界には、現在でも少なからず「名義貸し」と呼ばれる行為が存在します。ただし、名義貸しは違法行為であり、貸し借りが行われた双方に法的罰則が課せられます。

この記事では、名義貸しの定義や具体的な罰則、行政処分の内容について解説します。

目次

名義貸し(ナンバー貸し)とは

一般貨物自動車運送業を始めるためには「運送業許可」が必要です。自社以外の者から運賃を貰い貨物を運ぶためには、運送業許可を得なければなりません。
 
名義貸しとは、運送業許可を得ていない者が運送事業者(運送業許可を得ている者)の名義を利用して、運送事業に従事する行為を指します。

名義貸しの正体

運送業に従事する車両には「緑ナンバー車両」と「白ナンバー車両」があります。緑ナンバーは事業用車両、白ナンバーは自家用車両と定義され、それぞれの用途に違いがあります。
 
緑ナンバーを取得するためには、上述した一般貨物自動車運送業許可が必要ですが、許可を得るための条件は簡単ではありません。
 
そんな中、緑ナンバーを取得したいけれど自分自身で許可を得られない、特定の企業の社員ドライバーになりたくない、と考える者(無許可事業者や個人事業主)は、運送業許可を所持している事業者に増車手続き(自分の所有トラックの車検証を会社名義にしてもらう)を依頼します。
 
名義貸しトラックの車検証は使用者名義が運送業許可業者となり、名義貸しが完成するのです。
 
白ナンバーと緑ナンバーの業務可能範囲の違い

自家用車両(白ナンバー) 自分の荷物や自社製品のみを運ぶ
事業用車両(緑ナンバー) 他人の荷物や人を、金銭を受け取って輸送・送迎する
 
〈参考〉公益社団法人 全日本トラック協会 緑ナンバーのトラック
 

名義貸しが起こる理由

名義貸しが起こる原因には、いくつかの理由があります。

貸す側の事情

名義を貸したドライバーから、車両のメンテナンス代やナンバー代などの名目で、毎月決まった金額が支払われます。また、新たなトラックの購入やドライバーの雇用が必要ない点も、名義貸しがなくならない理由の一つです。

借りる側の事情

運送業許可の有無に関係なく緑ナンバー車両が手に入ります。緑ナンバー車両の需要は高く、収入向上や業績アップのために名義を借りてしまう事例が散見されます。

名義貸し(ナンバー貸し)は違法

名義貸しは「貨物自動車運送事業法第27条」および「70条」で禁止されている違法行為です。行為が発覚した際には、然るべき罰則と行政処分が下されます。

名義貸しの罰則と行政処分

名義貸しを行った事業者側

罰則 行政処分
3年以下の懲役または300万円以下の罰金 事業停止30日間
 
名義を借りたドライバー側
罰則 行政処分
3年以下の懲役または300万円以下の罰金 なし
 
〈参考〉貨物自動車運送事業法 第27条

名義貸し(ナンバー貸し)行為の判断基準

名義貸しの定義は一つではありません。ただし、名義貸しが発生している事業者とドライバーの間には、本来ではあり得るはずの関係性が証明できない事例が多く認められています。名義貸しの代表的な判断基準は、以下の通りです。

雇用関連の基準

  • ●事業所とドライバーの雇用関係が証明できない
  • ●給与支払い(固定給・保障給等)が認められない
  • ●ドライバーの社会保障加入(社会保険・雇用保険等)が認められない
  • ●就業規則や服務規程の定めがない など

経理関連の基準

  • ●ドライバーの乗務記録や収支の流れが計上されていない
  • ●車両の管理・維持に関わる費用を事業者が負担していない など

運行管理関連の基準

  • ●勤務管理が行われていない
  • ●点呼実施の形跡がなく、記録や帳簿も存在しない
  • ●ドライバーに対する指導・監督が成されていない など

車両管理関連の基準

  • ●事業者が車両の管理・保管を行っていない
  • ●事業者が車両の点検やメンテナンスを行っていない
  • ●事業者が車両の購入・リース契約を行っていない など

事故処理関連の基準

  • ●ドライバーが事故を起こした際の交渉を事業者が行っていない
  • ●ドライバーが事故を起こした際の損害賠償を事業者が行っていない など

まとめ

貨物自動車運送業界における名義貸しは、違法行為です。発覚した場合には、法律に基づいた罰則および行政処分が課せられます。緑ナンバーを取得して貨物運送事業に従事する際には、法律に則った然るべき手段を選択しなければなりません。

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