2023.08.30

運送業界

運送業界におけるドライバー教育の意義とは?具体的内容や効果について

    貨物自動車運送業界において遵守すべきは、安全運転の徹底です。安全運転継続のためのスキル向上や意識改革には、車両の運転者に対する「ドライバー教育」が欠かせません。

    この記事では、貨物自動車運送事業におけるドライバー教育の法的規制や、具体的な教育プログラムの内容、期待できる効果について解説します。

    目次

    ドライバー教育の位置付け

    貨物自動車運送業界では、大型車両の長距離運転が必要不可欠です。業務には交通事故のリスクが伴い、ドライバーは常に安全運転を心がけなければなりません。

    事故の確率を減少させるためには、ドライバーの運転技術の向上とモチベーションの維持が重要です。

    水準の高いドライバーの育成には、継続的なドライバー教育が最も効果的な取り組みです。

    ドライバー教育がもたらす効果

    水準の高いドライバー教育は、安全性の向上(事故や違反の撲滅など)に直結します。

    また、安全性が担保されることにより、業務効率の上昇や経費の削減が見込まれ、企業の業績向上の要因となります。

    ドライバー教育は、事業者やドライバーだけではなく、自動車運送業界全体にとって重要な施策といえるのです。

    具体的なドライバー教育の内容

    貨物運送業界に必要なドライバー教育は、大きく2種類に分けることができます。

    ①法律で義務付けられている指導・教育

    国土交通省は、貨物自動車運送事業者に対して「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針(法定12項目)」を示しています。

    これらは国土交通省が定める指導項目であり、事業者と現場の運行管理者には、以下の実施義務が課せられています。

           12項目         内容
    ①事業用自動車を運転する場合の心構え 事業の社会的な重要性や影響への理解などについて
    ②事業用自動車の運行の安全を確保するために遵守すべき事柄 事業全般に必要な法令の理解、遵守などについて
    ③事業用自動車の構造上の特性 自動車や貨物の特性を理解した運転などについて
    ④貨物の正しい積載方法 貨物の正しく安全な積載方法などについて
    ⑤過積載の危険性 危険性や防止策、厳守事項や罰則などについて
    ⑥危険物を運搬する場合に留意すべき事柄 性質や状態、輸送の基本事項などについて
    ⑦適切な運行の経路や当該経路における道路および交通の状況 運行経路や経路情報の把握、経路選択などについて
    ⑧危険の予測や回避並びに緊急時における対応方法 危険を予測した運転、ポイントなどについて
    ⑨運転者の運転特性に応じた安全運転 適性診断結果に基づく行動の自覚などについて
    ⑩交通事故に関わる運転者の生理的および心理的要因並びにこれらへの対処方法 事故の要因、過労防止にための留意点などについて
    ⑪健康管理の重要性 心身共に健康を管理する意味合いなどについて
    ⑫安全レベルの向上を図るための装置を備えるトラックの適切な運転方法 運転支援装置の正しい理解などについて

    上述の12項目は「一般的教育」と呼ばれ、すべてのドライバーに毎年実施することが義務付けられています。

    ドライバー教育は「一般的教育」だけではありません。さらに、特定の条件を満たしたドライバー(事故惹起運転者・初任運転者・高齢運転者)に義務付けられている「特別教育」が存在します。

    これら一連の指導・教育要領は、実施マニュアル(概要編・本編)として各業態別(トラック業界・バス業界など)に策定されています。マニュアルには、必要な教育内容と指導及び実施方法の指針が示されており、各企業の担当者はこれらを参考にドライバー教育を行うのです。

    すべてのマニュアルは、国土交通省の自動車総合安全情報からダウンロードすることが可能です。

    ②企業独自のドライバー教育プログラム

    ドライバー教育は、国土交通省が策定したマニュアルがすべてではありません。貨物自動車運送事業に携わる企業は、上述の義務付けられた指導・教育以外にも、独自のドライバー教育プログラムを取り入れています。

    ドライバー教育の実施方法

    全国の貨物自動車運送事業所では、法律により定められている指導・教育要領をベースに、自社の独自プログラムを追加した上でマニュアルを作成します。

    具体的な教育の方法やスケジュールは決められていませんが、法律で定められた範囲のドライバー教育を確実に実施しなければなりません。

    〈参考〉国土交通省 自動車総合安全情報

    ドライバー教育の実施例

    貨物自動車運送企業が取り入れているプログラムは様々です。以下に、ドライバー教育の一例をご紹介します。

    座学と実技によるスキルアップ

    事故やトラブルの映像を見ながら事故回避能力を高めるトレーニングや、実技により内輪差や死角の有無、点検方法などを確認する教育を行います。

    新人ドライバーに向けた安全教育プログラムの実施

    新人ドライバー向けに独自のプログラムを設け、試験や研修により運転許可制度を導入します。決められたプログラムに合格するまでは、業務を行うことはできません。

    再発防止プログラムの策定および指導

    業務中に事故やトラブルを起こしたドライバーに対して、企業が独自に策定した再発防止プログラムに基づく指導を徹底。面談やドライブレコーダーなどを利用して、再発防止に努めます。

    定期的な安全会議を召集

    所属するドライバーを召集し、事故やトラブルを防ぐための意見交換を行います。安全運転に関する情報交換や意識の統一を行い、ドライバーの安全意識を高めていきます。

    現状のドライバー教育における課題と解決策

    ドライバー教育には多くの課題が存在します。以下に、現状の課題と解決策となり得る指針を解説します。

    ドライバー教育の課題

    ドライバー教育は、法律で定められた内容に沿って繰り返し行われます。プログラムの作成や研修の実行には多くの労力が必要です。

    貨物自動車運送業界では、慢性的な人手不足が叫ばれています。質の高いドライバー教育を継続していくためには、人材の確保という根底の課題を解決しなければなりません。

    また、ドライバー教育を強化していくことで業務の負担が拡大し、仕事に対するモチベーションの低下に繋がる可能性も懸念されています。

    解決策

    安全運転と事故防止のための徹底したドライバー教育には、人材の確保と育成が必要不可欠です。そのためには業界全体のイメージアップが欠かせません。

    新たな業界参入者を募るためには、世間に向けて法令遵守や安全・安心な企業PRが効果的でしょう。

    また、労働条件向上や長時間労働の是正、報奨・表彰制度などを設け、在籍するドライバーのモチベーション向上に努めることも重要な施策です。

    まとめ

    交通事故のリスクなどを鑑み、安全運転の厳守が求められる貨物自動車運送事業。ドライバーに対する教育は、必要不可欠な施策です。

    ドライバー向けの教育プログラムを検討している場合には、法律や自社の運行実態を考慮したプログラム作りが求められます。

    この記事の執筆者

    中央自動車工業株式会社

    中央自動車工業株式会社は2002年からアルコール検知器「ソシアック」シリーズの製造販売を行っています。飲酒運転撲滅の実現を目指して、アルコール検知器「ソシアック」シリーズをはじめ自動車に関わる業務の効率化、安全管理のお役に立つ情報を発信しています。

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