2025.02.28

運送業界

安全運転管理者とは?選任、届出、講習、副安全運転管理者など概要を簡潔に解説

安全運転管理者とは、一定台数の自家用自動車(白ナンバー)を使用する事業所において、安全運転に必要な業務を行う人のことです。
 
今回の記事では業務内容や選任条件など、安全運転管理者について詳細かつ簡潔に解説していきます。

目次

安全運転管理者とは?

安全運転管理者とは、運転者に対する安全教育や、業務で自家用自動車(白ナンバー)を使用する際、運行計画の作成や安全確保の措置、運転者の健康状態や飲酒の有無の確認など、安全運転指導などを行い、交通事故の防止や安全運転の推進を担う役割の人を指します。

安全運転管理者の業務内容

安全運転管理者の主な業務内容は、次の通りです。

運転者の状況把握 各運転者の運転状況や健康状態を日常的に確認します。
安全運転確保のための運行計画の作成 安全運転を確保するための、運行スケジュールやルートを計画します。
長距離、夜間運転時の交代要員の配置 長距離や夜間の運転時に、適切なタイミングで交代要員を配置し、運転者の疲労を防止します。
異常気象時等の安全確保の措置 悪天候や災害時に、安全を確保するための措置を講じます。
点呼の実施 運転前後に点呼を行い、運転者の疲労や健康状態、酒気帯びの有無を確認します。
運転者の酒気帯びの有無の確認 目視等で確認するほか、アルコール検知器を用いた確認を実施します。
運転日誌の備え付けと記録 運転日誌を備え付け、運行の詳細を記録・管理します。
運転者に対する安全運転指導 運転者に対して、安全運転に関する指導や教育を行います。

安全運転管理者はこれらの業務を通じて、事業所内の交通安全を確保し、事故のリスクを低減することが求められます。

安全運転管理者の選任基準

業務上、一定台数以上の自動車を保有する事業所は、安全運転管理者を選任しなければいけません。

一定台数以上の自動車を使用する自動車の使用者は、自動車の使用の本拠(事業所等)ごとに、自動車の安全な運転に必要な業務を行う者として安全運転管理者の選任を行わなければならない。
 
※ 運行管理者等を置く自動車運送事業者、第二種貨物利用運送事業者及び自家用有償旅客運送事業者の事業所は対象外
 
引用:安全運転管理者制度|警察庁Webサイト

安全運転管理者の選任が義務付けられるのは、次の条件に該当する事業所です。
 
  • ●乗車定員が11人以上の自家用車を1台以上使用している場合
  • ●自家用車を5台以上使用している場合(自動二輪車は0.5台として計算)
 
これらの条件を満たす事業所は、安全運転管理者を1名選任する必要があります。
 
ちなみに選任義務を怠った場合、罰則が科せられることがあります。そのため、該当する事業所は適切に安全運転管理者を選任し、配置することが重要です。
 
安全運転管理者及び、副安全運転管理者の選任義務(道路交通法・第74条)に違反した場合、5万円以下の罰金が課せられます。
 
参考:道路交通法 | e-Gov 法令検索
関連記事:安全運転管理者を選任しないとどうなる? 義務や罰則について | SAFETY LIFE MEDIA

安全運転管理者の選任条件

安全運転管理者として選任されるためには、次の資格要件を満たす必要があります。
 

  • ●年齢:20歳以上
  • ●実務経験:自動車の運転の管理に関し1年以上の実務の経験を有する者等
    ※ただし、副安全運転管理者を配置する場合、安全運転管理者の年齢要件は30歳以上となります。
 
また、以下の欠格事項に該当する場合は、安全運転管理者として選任することはできません。
 
  • ●過去2年以内に都道府県公安委員会から安全運転管理者等の解任命令を受けた者
  • ●重大な交通違反を行い、2年が経過していない者
    (酒酔い・酒気帯び運転、麻薬等運転、妨害運転、無免許運転、救護義務違反、飲酒運転に関し車両等を提供する行為など)
  • ●重大な交通違反を下命・容認してから2年経過していない者
    (酒酔い・酒気帯び運転、麻薬等運転、過労運転、無免許運転、大型自動車等の無資格運転、最高速度違反など)
 
参考:安全運転管理者制度|警察庁Webサイト
 
なお、安全運転管理者の資格要件に規定はありますが、選任にあたっての試験などはありません。

副安全運転管理者とは?

事業所の保有車両が増えると、安全運転管理者をサポートする「副安全運転管理者」を選任しなければいけません。
 
こちらでは、副安全運転管理者の選任基準や業務内容について解説していきます。

副安全運転管理者の選任基準

副安全運転管理者の選任が必要となるのは、事業所で使用する自動車の台数が20台以上の場合です。
 
20台以上40台未満の場合は1名、40台以上では20台ごとに1名の副安全運転管理者を追加で選任しなければいけません。つまり保有車両が20台増えるごとに、副安全運転管理者を1名追加で選任する必要があります。
※ただし運転代行業の場合、保有車両が10台を超えるごとに1人以上の副安全運転管理者を選任しなければなりません。
参考:自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律 | e-Gov 法令検索

副安全運転管理者の業務内容

副安全運転管理者の役割は、安全運転管理者のサポート役です。ただし、業務内容は安全運転管理者と変わりありません。
 
仮に、安全運転管理者が不在のときや適切に業務を行えない場合は、副安全運転管理者が点呼やアルコールチェックを代行します。
 
また、経験を積んで将来的には安全運転管理者になってもらうために育成する、という意図も含まれています。

副安全運転管理者になるための資格

副安全運転管理者になるための資格は、次の通りです。
 

  • ●年齢:20歳以上
  • ●実務経験:自動車の運転の管理に関し1年以上の実務の経験を有する者等
 
実務経験は、安全運転管理者が2年以上なのに対して、副安全運転管理者は1年以上です。副安全運転管理者は、安全運転管理者と同じになります。

安全運転管理者、副安全運転管理者は届出が必要

安全運転管理者、及び副安全運転管理者を選任した場合、選任日から15日以内に、事業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会に届け出る義務があります。 
 
届出の際には、所定の様式に必要事項を記入し、提出しなければいけません。手続きや必要書類の詳細については、各都道府県警察のWEBサイトや最寄りの警察署で確認しましょう。
参考:安全運転管理者|警視庁

安全運転管理者講習とは?

安全運転管理者講習とは安全運転管理者及び、副安全運転管理者が受講することが義務付けられている講習です。 

安全運転管理者講習の意義

この講習は、交通安全に関する最新の知識や法令の理解を深め、事業所内での安全運転管理を適切に行うために実施されます。
 
具体的には、交通事故の防止策や運転者への指導方法、関連する法令の改正点などが講習内容に含まれます。

安全運転管理者講習は年に一度の受講が必要

受講頻度は、各都道府県の公安委員会が定める期間ごとに行われ、通常は年に一度の受講が求められます。
 
受講場所や日時については、事前に各都道府県警察のWEBサイトや窓口で確認することが重要です。
 
たとえば、東京都の場合は「オンライン講習」と「会場講習」を選択することができます。そのため、わざわざ会場に行かなくても、職場で仕事の合間に安全運転管理者講習を受けることが可能です。
 
この講習を受講することで、安全運転管理者としての責務を再確認し、最新の情報を基に適切な安全運転管理を実施することができるようになります。
講習時間や手数料は各県警のHPにて公開されております。
参考:安全運転管理者等法定講習|警視庁

未受講だと罰則はあるのか?

講習を受けなかったとしても、現在のところ直接的な罰則はありませんが公安委員会から指導や勧告を受ける可能性があり、企業の安全運転管理体制が不十分と判断された場合、行政指導を受けることもあります。
 
また、講習内容には最新の法改正や交通事故事情などが反映されます。
 
そのため、未受講で新しい情報を更新せず、法令遵守できないと、罰則や処分の対象になる可能性が高くなります。
 
たとえば2022年に、法改正で安全運転管理者の業務内容に酒気帯びの有無の確認に目視確認による確認が加わりました。(アルコール検知器を使用した確認は何度かの延期の後、2023年12月に義務化となりました。)
 
未受講の場合、こういった情報がアップデートできず、事業所内で法令遵守できないと、罰則や処分の対象となる可能性があります。

まとめ

使用する車両(白ナンバー)が5台以上(乗車定員が11人以上の車両は1台以上)になると、安全運転管理者を選任しなければいけません。
 
安全運転管理者及び、副安全運転管理者の選任義務を怠ると、「道路交通法・第74条」を違反したことになり、50万円以下の罰金が課せられます。

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