2023.03.10
運送業界
運行管理者補助者になるには?仕事内容や選定方法、講習や資格は必要か
事業者は所有する社用車の台数に応じて、運行管理者を選任しなくてはいけません。しかし、運行管理者の業務内容は幅広いうえ、事業所によっては24時間体制での管理が必要なので、少数での対応は現実的ではありません。
運送業者は、運行管理者が不在の際の運行管理を徹底させる目的で、補助するものとして運行管理者補助者を選任することが可能です。
目次
運行管理者補助者とは
運行管理補助者とは、一般貨物自動車運送事業の運行管理において、運行管理者をサポートする従業員のことを指します。
しかし、あくまで補助者であり、運行管理者の代理業務を単独で行うことはできません。ただし、点呼に関する業務については、その一部を補助者が単独で行うことが可能です。
運行管理者補助者の業務
運行管理者補助者は、運行管理者のもとで点呼を単独で行うことができます。点呼とは乗務前にドライバーの健康状態などを把握するための義務であり、運送事業者が行う輸送の安全に関わる取り組みです。
もし酒気や体調以外に問題があった場合は、補助者だけで判断することはできないため、運行管理者へ連絡を入れなければいけません。運行管理者が休息をとっている場合でも、携帯電話等で連絡を取れる状況が必要です。
ただし、点呼の実施回数の3分の1以上は運行管理者が実施しなければいけません。運行管理補助者が行なうことができるのは、点呼実施回数の3分の2未満に限られます。
そのため、一か月のうち3分の1は運行管理者が点呼を行う必要があります。
点呼のほかには、運行指示書に関わる資料の作成や運転者への連絡などが業務内容です。
運行管理者に報告しなければならない内容
運行管理者補助者はあくまでサポート役なので、運行管理者の指示のもとに動かなければいけません。
主な業務内容は、点呼を単独で行ってドライバーの健康状態を確認することや、ドライバーとの連絡です。
そのため、以下の該当の恐れを感じた場合は、運行管理者に速やかに連絡しなければいけません。
- ●ドライバーが酒気帯びしている
- ●ドライバーが疾病、疲労、睡眠不足などの理由で安全運転ができない
- ●無免許運転、大型自動車無資格運転
- ●過積載運行
- ●最高速度違反
運行管理者が休日で現場にいなくても、点呼や連絡でなにかあった場合は、すみやかに連絡するようにしてください。
運行管理者補助者になるには?選任基準と条件
補助者については、運行管理者が従業員から選任することができます。運行管理者の場合は必要な基礎講習と運行管理者試験に合格し、運行管理者資格者証を獲得しなければなりません。
しかし、運行管理者補助者の場合は、運行管理者資格者証がなくとも運行管理者基礎講習の受講した者であれば、補助者の要件を満たすことができます。
まとめると運行管理者補助者の選任要件は以下となります。
- ① 運行管理者資格証交付者
- ② 運行管理者基礎講習の受講者
運行管理者補助者の手続きは必要なのか?
業種によっては、運輸支局に「運行・整備管理者選任等届出書」を提出する必要がありますが、一般貨物自動車運送事業の場合は必要ありません。(貸切バスは必須)
ちなみに、貨物自動車運送事業法輸送安全規則の第21条には、以下の記載があります。
一般貨物自動車運送事業者等は、運行管理者の職務及び権限、統括運行管理者を選任しなければならない営業所にあってはその職務及び権限並びに事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務の処理基準に関する規程(以下「運行管理規程」という。)を定めなければならない。
引用:貨物自動車運送事業輸送安全規則 | e-Gov法令検索
つまり手続きなどは必要ありませんが、運行管理者と同様に運行管理者補助者の職務内容や選任方法などを、運行管理規程に明記しておく必要があります。
まとめ
運行管理者補助者は、あくまで運行管理者のサポート役で特別な権限があるわけではありません。ただし、ドライバーの健康状態を確認する点呼では、運行管理者の代理として行うことができます。
もしも点呼でドライバーの状態に異常を感じたら、すぐに運行管理者に連絡して指示を仰ぐようにしてください。