2022.10.15
飲酒対策
飲酒運転による検挙・逮捕は現行犯だけではない!後日逮捕のケースとは
目次
道路交通法違反の中でも、厳罰に処される飲酒運転。過去に起きた多くの事例では、飲酒運転による検挙は現行犯であり、現場で逮捕されています。
しかし、飲酒運転による検挙や逮捕は、必ずしも当日に行われるわけではありません。
この記事では、飲酒運転による後日逮捕のケースについて解説します。
飲酒運転とは
国内の道路交通法では、飲酒状態による車両の運転は禁止されています。飲酒運転の定義は、体内から検出されるアルコール濃度により規定されています。法律で定められた基準数値を上回るアルコール分が認められた場合、飲酒運転として検挙、または逮捕される可能性があります。
飲酒運転は呼気中のアルコール濃度により、行政処分や罰則が規定されています。飲酒運転に抵触する呼気中のアルコール濃度は「0.15mg/l〜」と定義されており、アルコール濃度の数字によって「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」に区別されます。
※酒酔い運転は呼気中のアルコール濃度の数値に関わらず、アルコールの影響により車両の運転に支障
をきたしている状態のことです。警察官とのやりとりがうまくできなかったり、まっすぐ歩けない等
の症状がみられると検挙となる場合があります。
行政処分や罰則は、運転者本人及び車両等を提供した者、酒類を提供した者または同乗した者にも適用されるため、関係者は然るべき処罰を受けねばなりません。
飲酒運転に関する詳細はこちらをご参照ください。
酒気帯び運転とは?酒酔い運転との違いやそれぞれの基準値と罰則もあわせて解説 | SAFETY LIFE MEDIA
飲酒運転は現行犯逮捕が圧倒的多数
飲酒運転により警察に検挙された場合でも、必ず逮捕されるわけではありません。飲酒運転が原因となり事故や過失が発生していない時には、在宅のまま法的手続きが進む事例もあります。
飲酒運転が逮捕に結びつく事例の多くは、飲酒による事故など、重大かつ悪質と判断される違反行為が認められた場合です。
飲酒運転により現行犯逮捕される事例
飲酒運転により逮捕される事例は様々ですが、以下の事例では重大かつ悪質な犯罪行為として、逮捕される可能性が高いでしょう。
人身事故
車両の運転が原因となって、物理的な外傷や命を奪ってしまうなどの損害を与える事故です。飲酒運転による人身事故は、加害者の状況と被害者に与えた損害によって刑罰が異なります。
基本的には「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」いずれかの行政処分に加え、過失運転致死傷罪によって逮捕される事例が多く認められています。ただし、飲酒の状態や事故の実態が悪質であると判断された場合には、危険運転致死傷罪が適用されます。
人身事故以外の違反
飲酒を伴う物損事故やスピード違反、その他の道路交通法違反を犯し、内容が重大で悪質と判断された場合には、逮捕される可能性があります。
なぜ現行犯逮捕なのか
飲酒運転による逮捕には、呼気中のアルコール濃度を測定しなければなりません。体内のアルコール濃度が、道路交通法で定める基準以上であることが認められる必要があります。
アルコールは徐々に体内から排出されるため、時間の経過と共に立証が困難となります。飲酒の有無は、事故や違反を犯した現場で確認されることから、現行犯逮捕となる事例が多いのです。
飲酒運転で後日逮捕される事例
現行犯逮捕が多い飲酒運転ですが、事故や違反を犯した後日に逮捕される事例がないわけではありません。後日逮捕の特徴は、飲酒運転以外になんらかの法律違反を犯しているという点です。
後日逮捕では、事件や事故の発生から時間が経過しています。従って、飲酒の有無を立証することは困難であることから、飲酒とは別の違反行為に対する逮捕となる可能性が高いでしょう。
代表的な事例
事故を起こした
人身事故や物損事故などを起こしていた場合、後日逮捕される可能性があります。多くは、人身事故などを自覚していたにも関わらず現場を離れる行為(ひき逃げ「救護義務違反」)を犯しており、後日逮捕に繋がる代表的な事例の一つです。
前科がある
過去に飲酒運転による検挙歴や、逮捕歴がある場合です。飲酒運転が発覚した現場では逮捕に至らずとも、過去の検挙・逮捕歴から同種前科が発覚した場合には、後日逮捕される可能性があります。
後日逮捕までの流れ
後日逮捕の場合、警察が事故や事件の証拠を固めた上で、裁判所からの逮捕状発布が必要です。飲酒運転により人身事故などを起こしている場合には、後日逮捕のための事故捜査が行われます。
捜査の結果、裁判所が後日逮捕に足る正当な理由があると判断した場合にのみ、逮捕状が発布されます。事故や事件が重大かつ悪質である場合や、加害者の逃亡や証拠隠滅の可能性が高い場合には、後日逮捕の可能性が高くなります。
後日逮捕に至るきっかけは様々であり、代表的な事例には、目撃者の証言や被害者による告発、被害届の提出、刑事告発などが考えられます。また、後日逮捕に至るまでには、任意の取り調べや家宅捜索が行われることもあるでしょう。
飲酒運転は絶対にしてはならない
警察庁は、飲酒運転による交通事故の件数を公表しています。元号が令和となって以降に起きた飲酒運転による交通事故件数は、3,047件(令和元年)、2,522件(令和2年)、2,198件(令和3年)と推移しています。ここ数年の事故件数は減少傾向にありますが、撲滅には程遠い数字です。
また、飲酒運転による死亡事故率は、飲酒なしに比べて約9,2倍(令和3年)と、明らかに高い数字となっています。飲酒運転が原因で起こる人身事故は、重大かつ悪質な事例も多く、過去には過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪成立のきっかけとなりました。
飲酒運転による事故は、加害者と被害者双方にとって大きな不利益をもたらします。運転の際には、運転者や周囲の者すべてが「飲んだら乗らない」を徹底し、飲酒運転を根絶するための、高い意識を共有しなければなりません。
〈参考〉警察庁 飲酒運転による交通事故件数の推移