2022.08.19
飲酒対策
車中泊中の飲酒は違法? 飲酒運転の線引きについて
目次
ホテルや旅館などの宿泊施設を利用せず、車の中で寝泊りする「車中泊」。
近年では、一人旅や、災害時の防災手段としての需要が高まっています。
便利な車中泊ですが、車中泊中の飲酒に関して違法性はないのでしょうか?
この記事では、車中泊における飲酒の定義や、注意点について解説します。
車内で飲酒すること自体は違法ではない
道路交通法が定める飲酒運転は、あくまでも飲酒状態における車の運転を禁止するものです。飲酒する場所が車内であっても、完全にエンジンが停止している場合や、何らかの理由により車が動かせない状態(ガス欠や故障など)であれば問題ありません。
飲酒運転による違法性が認められるのは、エンジンをかけて車を発進させた場合です。運転とは車を物理的に動かすことであり、停止中の車内における飲酒の有無は無関係であると認識しておきましょう。
飲酒状態で運転した場合には当然飲酒運転になる
車内で飲酒すること自体に違法性は認められませんが、少しでも運転を行えば、当然ながら飲酒運転となります。車中泊中に限らず、飲酒状態で車のエンジンをかけて発進させた場合にも、もちろん飲酒運転に該当します。
駐車場内の移動などもNG
道路交通法において、飲酒運転が禁止されている場所は「道路」上です。一般に自由に通行できるような場所は、すべて道路(一部の私有地などを覗く)に該当します。車中泊を行う敷地内や駐車場なども道路に該当することから、飲酒状態の運転は違法です。
飲酒運転の定義
体内にアルコールが吸収された状態で車の運転を行えば、飲酒運転と捉えることができます。しかし、刑罰(行政処分や罰則)の対象となる飲酒運転には、道路交通法で定められた厳密な基準が存在します。
酒酔い運転
具体的なアルコール濃度の基準はなく、アルコールの影響により車両等の正常な運転ができない状態で車両の運転を行った場合
酒気帯び運転
呼気1リットル中のアルコール濃度が「0.15m以上0.25mg未満」の範囲内に収まる状態において車両の運転をした場合
飲酒運転の行政処分や罰則
酒酔い運転
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罰則:免許取消し、欠格期間3年
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点数:35点
酒気帯び運転
◯呼気中のアルコール濃度0.15mg/リットル〜0.25mg/リットル未満
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罰則:免許停止 期間90日間
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点数:13点
◯呼気中のアルコール濃度0.25mg/リットル以上
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罰則:免許取消し、欠格期間2年
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点数:25点
車両等の運転当事者
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酒酔い運転:5年以下の懲役または100万円以下の罰金
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酒気帯び運転:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
また、飲酒運転の刑罰は、運転者以外にも及びます。車両を提供した者や酒類を提供した者、同乗した者にも罰則が課せられます。
〈参考〉警察庁 みんなで守る「飲酒運転を絶対しない、させない」
車中泊で飲酒する場合に気をつけたいこと
エンジンを切った状態の車内で行う飲酒に、違法性はありません。しかし、飲酒後に車を運転しなければならないことを考慮すると、以下の点に注意しておく必要があるでしょう。
飲酒しない人物にいてもらう
キャンプや旅行など、団体やグループで車中泊を楽しむ際には、飲酒をしない人物がいると心強いでしょう。生活のすべてを車内で行う車中泊では、急な車の移動が必要になる場面があります。有事の際に、車を運転できる人物がいれば安心です。
ソロキャンプなど、自分以外に車を運転できる人物がいない際には、アルコールが抜けるまでの時間を把握しておくことが大切です。
紛らわしい行為はしない
厳密には運転していなくても、飲酒運転と混同されるような行為は避けねばなりません。エンジン停止状態におけるサイドブレーキの操作や、空調(カーエアコン)を使用するためにエンジンをかけるなどの行為は、飲酒運転と間違われる可能性の高い紛らわしい行動です。
飲酒運転は、厳罰化が進んでいます。たとえ飲酒運転でなくても、要らぬ疑いをかけられてしまうような行為は極力避けた方が良いでしょう。
まとめ
車中泊中の飲酒に違法性はありません。ただし、何らかの利用により車を動かしてしまった時点で、飲酒運転になります。また、飲酒後であっても、二日酔いなど体内にアルコールが残っている状態であれば、飲酒運転の基準に抵触する可能性もあるでしょう。
車中泊中に飲酒する場合には、注意点を守り、絶対に飲酒運転しないという強い意識を持って行動しましょう。