2021.12.28
危機管理
車両管理とは?業務内容から車両管理システムの導入まで解説
目次
営業車や社用車を所有する企業において「車両管理」は重要な業務です。
とはいえ車両は管理者の目が届きにくい社外で多く使われるため、車両管理はそう簡単ではありません。
万が一、自社の社用車が事故を起こした場合、企業には多大な損害が生じてしまいます。そのような損害を起こさないためにも、日頃の車両管理業務の徹底が重要なのです。
ここでは、車両管理の業務内容や目的、重要性に触れながら、車両管理システムの導入方法についても解説していきます。
車両管理とは
車両管理とは、企業や組織が所有する社用車やレンタル車両を管理する業務のことです。社用車の他にも、役員が通勤時に使用する車両も対象になります。
単に車両情報を管理するだけでなく、整備・使用状況・車両保険などの管理も業務内容に含まれています。
従業員の安全確保だけでなく、この業務の目的として「リスク回避」と「コスト管理」の2つが挙げられます。
車両管理業務の目的
<リスク回避>
業務で車両を使用する企業において、従業員と車両の安全を確保することは最も重要であると言えます。
運転時には交通違反や交通事故のリスクが多く潜んでいますが、車両管理によってそれらのリスクを軽減することができるのです。
ドライバーが交通事故を起こしてしまうと、使用者責任と運行供用者責任が問われます。社会的信用の失墜は、企業にとって大きな損害になってしまいます。
車両事故による人的・物理的リスクを生じさせないために、車両管理は重要な業務です。
<コスト管理>
日々の営業のなかで車両を利用する企業にとって、人材も車両も欠けてはなりません。
ドライバーが事故を起こしてしまうと、ドライバーや被害者の入院費、賠償金や保険金の支払いであったり、車両の修繕費用など様々なコストがかかります。
企業にも責任が問われ、世間的なイメージのダウンは避けて通れず、企業全体の利益にも響いてしまいます。
車両管理業務は同時にコスト管理も行なっているのです。
車両管理に関わる業務内容
・車両管理規定の作成と見直し
・自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)や任意保険への加入
・自動車税の納付
・車検対応
・契約更新
など。
【人の管理】
・運転日報の記入指導と内容確認
・営業者を運転する従業員に対し、使用許可申請の提出を促す
など。
車両管理が必要不可欠である理由
企業の法的責任を全うするため
交通事故を起こした場合、ドライバーは民法第709条の「損害賠償責任」を負うことが一般的です。
企業は民法第715条の「損害賠償責任」を負うことになります。この法律は運転手が第三者に与えた損害を賠償する責任が生じるという内容です。
きちんと運転手の管理ができている場合は、例外として扱われます。社員による車両事故は会社の社会的信用を損ね、経済面にも影響がおよびます。
このようなリスクを避けるためにも、車両管理を徹底し、社員に安全運転を呼びかける必要があるのです。
車両と従業員の安全確保のため
社員が社用車を利用するにあたり、会社はその安全を守る義務が発生します。
車両の安全性は日頃の点検・整備によって保たれます。車両点検や整備などを怠ってしまうと、社員が社用車を運転している最中に、思わぬトラブルが発生してしまうリスクがあります。
車両トラブルや事故を招かないためにも、企業は走行以外の点検や整備を徹底する必要があるのです。
車両関係の費用管理(コスト削減)のため
会社が所有している車両は、資産に該当します。そのため車両関係の費用を管理しなければなりません。
車両の場合、ガソリン代や整備・点検費などが主なコストとして挙げられます。整備・点検は車両の安全性確保のために行う必要があり、削ることが難しいコストです。
ガソリン代であれば、無駄な目的での社用車使用を抑えることによってコスト削減を実現できます。
車両管理によって社員の運転状況を把握し、無駄な走行を減らすことができればコスト削減につなげられます
車両管理システムとは
車両管理業務をスムーズに行うために注目されているのが、車両管理システムです。
自社で所有している社用車やトラックに関わる管理業務をIoT技術によってサポートし、運転手の体調管理や、安全運転の指導、輸送経路の効率化など、様々な面において現状改善に役立ちます。
主な機能として、
- ・燃費やルートなどの運転効率の分析
- ・GPSで取得した位置情報から経路を記録・分析
- ・急ブレーキや急発進などの情報記録
- ・休憩のチェックや労働時間の把握
などが挙げられます。
事故を未然に防ぐシステムとして、今後が期待されているサービスです。
車両管理システムを導入するメリット
コスト削減
車両管理システムを導入すると、管理業務の効率化だけでなくコストの削減も図ることができます。車両台数、燃費、保険料、作業業務におけるコストなど、あらゆるコストの削減が可能です。
交通事故の防止
車両管理システムを利用すると、オフィスに居ながら車両の現在位置や急ブレーキ・急発進などの情報がリアルタイムで把握できます。
トラブル時に迅速な対応ができるようになるだけでなく、データに基づいた安全運転の指導を行うことができます。
また、危険運転箇所を地図上でマークすることができるので、前もって注意喚起したり、危険箇所の迂回を図ることができます。
近年多発している運送業者による飲酒運転の防止にも大いに役立つと言えます。
顧客へのサービス向上
車両管理システムに搭載されているGPSの活用で、顧客へ現在地が通知できるほか、明確な配達時間や到着時間を伝えることができます。
急な依頼や問い合わせにも対応することが可能になり、最適な担当者を最適な時間に割り当ててサービスを提供して行くことも可能です。
GPSによってドライバーの位置情報が把握できるようになると、訪問先や訪問ルートがより明確に可視化されるため、効率の良い訪問活動ができているかどうかの分析から改善策の立案までできるようになります。
車両管理システムの選び方
車両管理システムを選ぶ際には、デバイスのタイプを重視するのがベストです。
- OBD-Ⅱポート型
- ドライブレコーダー型
- アプリ型
- シガーソケット型
- デジタルタコグラフ搭載型
など、様々なデバイスタイプの車両管理システムが存在します。
走行位置のリアルタイム監視や車検台帳効率化などの目的がある場合、車両管理システムによって特色があります。
しかし、近年のクラウド型の車両管理システムの多くは、運転の診断機能や運転日報の自動作成機能などを有しているため、機能の有無はさほど比較のポイントになりません。
業務効率化には「IT点呼サービス」の同時導入も
毎日欠かせない点呼業務においても、ドライバーや運行管理者の業務効率化を進めるには、車両管理とともにIT点呼サービスの併用をすることで万全の体制を取ることができます。
「IT点呼」とは、緑ナンバーの運送事業者で使われているシステムで、運転者の業務内容や体調、酒気帯びの有無を確認する点呼をWEBカメラやスマートフォン等を活用し、IT機器を通して行うことです。クラウドサービス等を活用することで、導入も身近になっており、運送事業者以外の業種でも活用の幅が広がっています。
「IT点呼」については、以下の記事で詳細を解説しています。
参考:SAFETY LIFE MEDIA「自動車運送事業における『IT点呼』とは?概要や導入方法を解説」
車両管理システムやサービスの導入でリスクマネジメントを
車両管理は、あらゆる面で企業や従業員を守る重要な業務です。
車両管理システムやIT点呼サービスの導入は従業員の安全を確保するだけでなく、企業を守ることにも繋がっていきます。
自社の車両による事故を未然に防ぐことで、効率よく確実に企業全体を守っていきましょう。