2024.01.25

運送業界

デジタコの補助金制度とは?最新情報やデジタコの機能について

運行記録計(タコグラフ)は、事業用トラック(総重量7t以上、もしくは最大積載量4t以上)に装着が義務付けられています。現在主流となっているデジタル式の運行記録計(デジタルタコグラフ 通称:デジタコ )には、様々な補助金制度が設けられていることをご存知でしょうか?

導入する上で、上手く活用できれば費用負担を軽減できる補助金制度。この記事では、デジタコの補助金制度使用を検討している方へ向け、デジタコの基礎知識や補助金制度の種類・内容について解説します。

目次

デジタコとは

運行記録計とは、「貨物自動車運送事業輸送安全規則」に定められた情報(自動車運転時の速度・走行時間・走行距離など)を記録する記録機です。
 
記録方法は様々ですが、メモリーカードやSDカードなどの記録メディアを利用する運行記録計をデジタコと呼んでいます。インターネット環境やIT技術の進歩に伴い、現在使用されている運行記録計の多くはデジタコとなっています。
 
デジタコに搭載されている機能
【主な機能】

  • ●速度
  • ●距離
  • ●速度
(法定三要素)の記録

【主なオプション機能】
  • ●外部端末・機器連動
  • ●GPSによる位置情報取得
  • ●危険運転の発生箇所・回数の記録
  • ●アイドリング情報取得
  • ●危険運転に対する警告音・表示
  • ●オプションカメラ
  • ●温度センサー
  • ●安全運転サポート機能
  • ●アルコールチェック機能
  • ●ドライブレコーダー など
※機能の詳細はメーカーや型番ごとに異なります
 

デジタコとアナタコの違い

記録メディアを使用するデジタコに対し、記録紙(チャート表など)の紙媒体を使用する運行記録計をアナログタコグラフ(通称:アナタコ)と呼びます。どちらも有効な運行記録計ですが、情報の取得方法や取得量、導入コストなどに違いがあります。
 
デジタコとアナタコの主な違い
 

     項目     デジタコ     アナタコ
 
 
 
記憶・保存できる情報
速度・距離・時間(法定三要素)
現在位置
危険運転の発生箇所・回数の記録
アイドリング情報 など 
 
速度・距離・時間(法定三要素)など、基本的な最低限の情報のみ
コスト 数万円〜数十万円 数万円(初期費用)+用紙代金
車内における使用方法 簡単な端末操作のみ 記録紙の読み取りに専門知識が必要
 

2023年度(令和5年度)のデジタコ補助金制度

デジタコ導入に際しては、国や特定の法人が提供している補助金制度を利用可能です。補助金の利用条件は、それぞれの制度や事業所の規模、使用する端末によって異なります。制度の利用を検討する際には、所定の公募条件を満たす必要があります。
 
以下に、代表的な補助金制度と概要をまとめました。デジタコ導入の際には参考にしてください。

国土交通省|運行管理の高度化に対する支援

自動車運送事業者に対する交通事故防止支援の観点から、デジタコ運行記録計について機器の取得費用を補助する制度です。
 
国土交通省が認定した機器を導入することで、車載器や事務所用機器に対して補助金が支払われます。

公益財団法人|日本自動車輸送技術協会 被害者保護増進等事業費補助金

国土交通省が実施している補助制度です。自動車運送事業者に対し、デジタコ運行記録計の導入および、過労運転防止のための機器導入支援を目的としています。
 
令和5年度より、補助金の執行事務が国土交通省から(公財)日本自動車輸送技術協会へ委託されました。

経済産業省|トラック輸送の省エネ推進事業

トラック運送事業におけるさらなる省エネを推進するために、車両動態管理システムや予約管理システム等の導入に対して経費の一部を支援する制度です。
 
補助事業の執行団体は、パシフィックコンサルタンツ株式会社が行っています。資料のダウンロード等は、公式HPから可能です。

トラック協会の助成金事業

トラック協会の助成金は、各都道府県(東京都トラック協会・北海道トラック協会など)が独自に行っています。
 
助成金の金額や条件等は協会ごとに異なりますので、利用の際は該当する地域のトラック協会公式HPを確認してください。
 
〈参考〉
国土交通省 運行管理の高度化に対する支援
公益財団法人 日本自動車輸送技術協会 被害者保護増進等事業費補助金
経済産業省 トラック輸送の省エネ推進事業
トラック協会の助成金事業

デジタコのメリット・デメリット

補助金制度が充実しているデジタコですが、導入の際には知っておきたいメリットとデメリットがあります。

メリット①豊富な機能

デジタコは法定三原則(速度・距離・時間)はもちろん、貨物運送事業において必要になる様々な情報を記録可能です。
 
より多くの情報を収集・記録することで、事業者は円滑な組織運営が可能になります。また、アルコールチェックや危険運転防止機能などは、ドライバーの事故やトラブル防止対策としても有効であり、安全な業務遂行に役立ちます。

メリット②配車業務の効率化

貨物運送事業では、1日の運行情報をデータとして記録・保管しなければなりません。運行管理システムと連動・同期可能なデジタコであれば、手書きによる日報の作成などの手間を省略できます。

メリット③安全運転意識の向上

ドラレコ(ドライブレコーダー)機能を搭載しているデジタコは、ドライバーの運転映像をすべて記録しています。記録されている意識を持つことで、ドライバーには安全運転に対する意識が強く芽生え、事故やトラブル防止の抑止力となります。

メリット④不正の防止

運行データを記録紙に直接記入するアナタコでは、事業者やドライバーの都合の良いようにデータを書き換えることが不可能ではありません。
 
しかし、運行情報をデジタルデータで管理しているデジタコであれば、データの改ざんや修正の記録が残ります。アナタコに比べ、より正確な運行データの記録が可能になります。

デメリット①初期導入コスト

導入の際、まとまったコストが発生する点には留意が必要です。デジタコは搭載されている機能によって端末価格が異なります。
 
搭載機能が豊富な多機能モデルを導入する場合には、一台数十万円の出費が必要です。デジタコ導入には、コスト面の事情を考慮しなければなりません。

デメリット②端末設置の手間

デジタコの専用端末は、車内に直接設置します。取り付け作業にはある程度の時間と手間がかかります。専門の業者に依頼する方法もありますが、別途費用が必要です。

デメリット③データの破損リスク

運行データを紙の書類で保管するアナタコに対し、デジタコに記録されたデータはパソコンのハードディスクなどにデジタル保管されています。
 
保管端末に不具合や故障が発生した場合には、内部の運行データを紛失してしまうリスクがあることに留意が必要です。

デメリット④ドライバーの精神的ストレス

精度の高いデジタコは、業務中のあらゆるデータを記録・録画可能です。正確な運行データを記録することを目的とした機能ですが、高すぎる精度や多様な機能はドライバーに精神的ストレスを与えかねません。
 
デジタコ導入の際には、ドライバーの精神的負担面も考慮する必要があるでしょう。

まとめ

貨物運送事業において、車両へのデジタコおよびアナタコの装着は法律により義務付けられています。現在主流となっているデジタコですが、利用にはメリットとデメリットがあることも忘れてはいけません。導入の際には補助金制度なども考慮し、環境や条件にあった端末を利用しましょう。

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