2022.07.23
飲酒対策
甘酒は適正量なら飲酒運転にならない? 正しい解釈と注意点
目次
年末年始の寺社参拝時など、縁起の良い席で振舞われることの多い甘酒。
非常に栄養価の高い飲み物として親しまれていますが、甘酒を飲んだ状態で車両を運転することは可能なのでしょうか?
この記事では、甘酒を飲んだ状態で行う運転の可否について解説します。
甘酒を飲んでも飲酒運転になる可能性は低い
日本の酒税法において、酒類と定義されるのは「アルコール分1.0%以上」の飲料と決められています。甘酒は名称こそ酒となっていますが、含まれるアルコール分は1%以下であり、清涼飲料水と定義されています。ただし、甘酒の種類によってはアルコール分が多く含まれているものもあり、注意が必要です。
甘酒とは?甘酒の種類と特徴
甘酒には米麹を原料とするものと、酒粕を原料とするものの2種類があり、それぞれ特徴が異なっています。
米麹の甘酒
米麹から作られる甘酒は米と米麹からなっており、アルコールを一切含んでいません。米麹は麹菌によってデンプンを糖化したものであり、ブドウ糖やビタミン、ミネラルなど、豊富な栄養素が特徴です。
アルコールが含まれていないことから、子供や妊婦の方も安心して飲むことができ、車両の運転も気にする必要がありません。
酒粕の甘酒
酒粕から作られる甘酒には、アルコールが含まれています。酒粕とは日本酒を製造する工程で発生した搾かすであり、100g辺りにおおよそ8%のアルコールが含まれています。
酒粕の甘酒は、製造過程における加熱処理によってアルコール分が飛ばされており、市場に出回っている商品の多くはアルコール分1.0%以下となっています。
運転前に甘酒を飲む際の注意点
甘酒を飲んだ後に運転することに問題はありませんが、念のために以下の点には留意しておきましょう。
甘酒といえども飲みすぎない
酒粕が原料である甘酒には、少量といえどもアルコールが含まれています。アルコールに対する耐性(分解能力など)は人により異なり、飲酒時の体調や健康状態次第では、想定外の影響を受ける可能性もあるでしょう。
アルコール耐性が低い方や体調に不安がある際には、摂取量を調整する、または摂取しないという選択が賢明です。
アルコール分がわからない甘酒は避ける
市販されている甘酒には、成分表の詳細や含まれているアルコール分の度数が表記されています。しかし、年末年始の外出時に振舞われる甘酒などの場合には、正確な成分を知ることができません。
手作りされた酒粕の甘酒では、市販のものよりも高いアルコール分が含まれている可能性もあります。運転が必要な際には、アルコール分の曖昧な甘酒を口にしない方が良いでしょう。
飲酒運転の刑罰を理解しておく
飲酒運転には道路交通法により、厳格な罰則規定が設けられています。甘酒は飲酒に該当しませんが、酒粕が原材料となる甘酒にアルコールが含まれていることも事実です。
甘酒といえども、アルコール分解能力の低い方が大量に飲んだ場合、呼気中のアルコール濃度が飲酒運転の基準に抵触してしまう可能性がないとは言い切れません。甘酒を飲む際には、飲酒運転の罰則を正しく理解した上で判断しましょう。
飲酒運転の行政処分と罰則
飲酒運転の行政処分
酒酔い運転
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罰則:免許取消し、欠格期間3年
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点数:35点
酒気帯び運転
◯呼気中のアルコール濃度0.15mg/リットル〜0.25mg/リットル未満
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罰則:免許停止 期間90日間
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点数:13点
◯呼気中のアルコール濃度0.25mg/リットル以上
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罰則:免許取消し、欠格期間2年
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点数:25点
飲酒運転の罰則
車両等の運転当事者
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酒酔い運転:5年以下の懲役または100万円以下の罰金
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酒気帯び運転:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
車両等を提供した人物
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酒酔い運転:5年以下の懲役または100万円以下の罰金
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酒気帯び運転:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
酒類を提供した人物または同乗した人物
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酒酔い運転:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
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酒気帯び運転:2年以下の懲役または30万円以下の罰金
〈参考〉警察庁 みんなで守る「飲酒運転を絶対しない、させない」
お酒に弱い人が甘酒を飲む際のポイント
体質的にアルコールの分解能力が低い方は、アルコールの影響を受けやすい傾向にあります。甘酒であっても心配という場合には、以下の2点を心がけてみましょう。
米麹の甘酒を選択する
米麹を原材料とする甘酒には、アルコールが含まれていません。甘酒の種類を選択できる場合には、米麹で作られた甘酒を飲むようにしましょう。
加熱処理を行う
加熱することで、甘酒に含まれるアルコールを飛ばすことができます。加熱方法は様々ですが、沸騰させることが大切です。強火であれば、約10分程度熱することでアルコールを飛ばすことができます。
アルコール分を完全に飛ばしきることはできませんが、一定の効果を期待することができます。甘酒のアルコール分が気になる場合には、試してみてはいかがでしょうか。
まとめ
酒粕が原材料となる甘酒にはアルコールが含まれていますが、市販されている甘酒は、酒税法上の清涼飲料水扱いです。
ただし、アルコールが含まれていることに少しでも不安を感じる方は、注意点や飲む際のポイントを参考に、より安全で確実な運転を心がけてください。