2021.11.05
運送業界
白ナンバーでの運輸業は違法?合法?許可なしでの運送業務は違法
目次
「貨物自動運送事業」に利用される車両には、【白ナンバー】【緑ナンバー】【黒ナンバー】の3種類があります。
荷物や人の運送に金銭が発生する場合、基本的には緑ナンバーのトラックでなければ違法とみなされてしまいます。
白ナンバーのトラックで荷物を運ぶと違法になることがありますが、全ての輸送が違法になるというわけではありません。
ここでは、白ナンバーでの輸送行為において違法とみなされる行為はどのようなことなのか、違法に該当した場合の罰則も含めて解説していきます。
白ナンバートラック自体は違法にあたらない
自家用にトラックを購入し、白ナンバーを取得して運転するだけでは違法に当たりません。
違法とみなされるのは、白ナンバーのトラックを使用して輸送行為を行い、運賃の利益をあげていた場合です。
白ナンバートラックの使用目的は自家用乗用車と同義であり、自社の荷物を自社の車で運ぶことを目的とした上で運賃による利益が発生しなければ、何の違法にも該当しません。
ただし他社の商品を運送したり、人物を送迎したりすることによって運賃が発生した場合は、白ナンバートラックで営業行為を行ったとして違法とされてしまいます。
前提として、事業用自動車には緑ナンバーを取り付けなければならないことが義務付けられています。
トラックをはじめ、タクシーやバスなど人または荷物を自動車で運ぶことで運賃による利益を得る場合は、緑ナンバーまたは黒ナンバー(営業ナンバー)の取り付けが必須です。
自家用車と事業用車、商用車の大まかな違いについては以下の表を参照してください。
|
用途 |
自家用車 |
自分の荷物や自社製品のみを運ぶ |
事業用車 (貨物自動車運送事業用) |
他人の荷物や人を、金銭を受け取って輸送または送迎する |
商用車 (営業車・業務用含む) |
何を運ぶかは関係なく、出張や営業など仕事用として使用する |
白ナンバーの基準
白ナンバーのトラックは自社の荷物を自社の車で運ぶ「自家用トラック」です。
自家用の乗用車と使用目的が同じなので、自社で取り扱っている商品を運んで利益を得ることは可能です。
緑ナンバートラックとの違い
白ナンバーのトラックは自家用の常用・商用トラックであるのに対し、緑ナンバーは営業用事業用のトラックのことを指しています。
緑ナンバートラックは、貨物自動車運送業法第2条第2項において「他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業」と定められています。
他社のものを自社トラックで運んで利益を得る場合は、緑ナンバートラックでなければなりません。
緑ナンバーと白ナンバーの違いやそれぞれの特徴については、以下の記事で詳細を解説しています。
参考:SAFETY LIFE MEDIA「白ナンバートラックと緑ナンバートラックの違いとは。メリット・デメリットを解説」
また、緑ナンバーや黒ナンバーなどの事業用自動車を扱う事業者は、ドライバーの勤務前・勤務後の飲酒検査の義務化が進んでいますが、白ナンバーのトラックでも飲酒検査の義務化が進んでいます。
白ナンバートラックにおける飲酒義務化については、以下の記事で詳細を解説しています。
参考:SAFETY LIFE MEDIA「白ナンバーの飲酒検査義務化で何が変わる?安全運転管理者のすべきことまとめ」
白ナンバーでのNG輸送行為
他の会社の商品を運んで利益を得る
白ナンバートラックの事業者と荷主企業が異なる場合、白ナンバートラックの輸送者が荷物を運ぶことによって利益を得る形になります。
運賃が利益の主軸になるため、有償運送ということにあたり、違反に該当します。
自社の廃棄物や自社のものを他社の白ナンバーに依頼する
廃棄物処理業者が自社で解体して発生させた廃材・廃棄物を社用車で運ぶ場合は、有償運送に当たらないので、違反にも該当しません。
しかし、自社で出た廃材や廃棄物等を白ナンバートラックの事業者に依頼して運賃を支払った場合、白ナンバー業者側が荷物を輸送して利益を得ることになるので、有償運送を行なったとして違反にあたってしまいます。
白ナンバーでのNG輸送行為には例外もある
白ナンバートラックの例外として、引越し運送事業者が繁忙期(3~4月)に車両不足を補うため、やむをえず白ナンバートラックのレンタカーを手配することがあります。
この場合、運輸局に届出をしていれば一時的に白ナンバートラックでの引越し運送が認められることがほとんどです。
これはあくまで例外的な措置であり、通常は自家用車での引越し業務は認められていないので注意してください。
白ナンバートラックの違法行為に対する罰則
輸送者側
白ナンバートラックでの営業を目的とした運送は認められていないため、法に則って営業行為を行うためには、一般貨物自動車運送業の許可、もしくは特定貨物自動車運送事業の許可を得る必要があります。
白ナンバートラックで運賃などの利益を得るための営業を行った場合、貨物自動車運送事業法の第3条1項・第35条1項に違反してしまいます。
違反した場合「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」という罰則が科せられます。
交通事故などの大きな過失によって懲役刑になってしまった場合は、懲役が終わってから2年経過しなければ、新規許可の申請もできなくなってしまいます。
荷主側
白ナンバートラックに仕事を依頼している荷主に対して、直接の罰則の規定はありません。
罰則が科せられるのは白ナンバートラックで営業していた輸送者側のみになりますが、法的に荷主企業が責任を負う可能性は低いとしても、違法業者に仕事を依頼していたとして世間の信頼や評価は失墜してしまいます。