2024.06.30
運送業界
【軽貨物の税金】4ナンバーに必要な税金について解説
物流・運送業を生業としている個人事業主の中には、軽貨物自動車(4ナンバー)を使用している方が多いかもしれません。車両保有者に義務づけられている税金は、車両のサイズや排気量など、様々な条件を基準に細分化されています。
この記事では、運送業従事者にとって需要の高い軽貨物自動車(4ナンバー)にかかる税金について解説します。
目次
軽貨物とは
まずは、軽貨物自動車の定義や特徴について見ていきましょう。
軽貨物自動車は軽自動車
軽貨物自動車は軽自動車です。軽自動車の中でも、貨物の運搬を目的とした軽自動車を小型貨物自動車(通称:軽貨物自動車)と呼びます。対して、貨物の運搬以外に使用する軽自動車は、小型乗用自動車(一般的な軽自動車)です。
ナンバーについて
すべての自動車には1〜10までの分類番号が割り当てられており、4ナンバーは小型貨物自動車(軽貨物自動車)専用の分類番号です。
分類番号は、ナンバープレートにある地名の右側に記載されている数字で判別可能です。小型貨物自動車のように分類番号が4から始まる車両は、通称「4ナンバー車両」と呼ばれています。
小型貨物自動車の範囲
小型貨物自動車に該当する車両は様々です。荷物を輸送するための軽トラックや軽バンはもちろんですが、後部座席が搭載された車両であっても小型貨物自動車に該当します。
軽貨物自動車は小型貨物自動車に分類されますが、該当車両は軽自動車のみではありません。普通自動車であっても、条件(後述)を満たしていれば小型貨物自動車として4ナンバーを取得できます。
軽貨物自動車の車両条件
軽貨物自動車として、4ナンバーを取得するための具体的条件をまとめました。
軽貨物自動車を使用して物流・運送業に従事するためには、以下の条件を満たした車両が必要です。小型乗用自動車(一般的な軽自動車)とは車両条件が異なるため、注意しなければなりません。
- ●荷物を乗せるスペースの面積0.6㎡以上
- ●後部座席の面積が荷物を乗せるスペースよりも狭い
- ●乗車できる定員の総重量よりも荷物の積載総重量が重い(定員体重は55kgと設定)
- ●荷物の積載口スペースが縦幅80cm、横幅80cm以上
- ●座席スペースと荷物を乗せるスペース間が壁や仕切りで区切られている
- ●長さ・幅・高さが3.4m/1.48m/2.0m以下
※排気量が660cc以下
軽貨物(4ナンバー)に必要な税金
軽貨物自動車を保持するためには、車両専用の税金がかかります。支払わなければならない税金の種類や内容をまとめました。
①軽自動車税(種別割)
毎年1度、4月1日時点で軽自動車や原動機付自転車(原付バイク)、小型特殊自動車、二輪の小型自動車を所有・使用している者に支払い義務がある税金です。
車両の種類や所有期間ごとに1台あたりの年税額が定められており、所定の金額が適用されます。
軽貨物自動車における軽自動車税(種別割)額(参考)
車種区分 | 初度検査年月が 平成27年3月31日までの車両 |
初度検査年月が 平成27年4月1日以降の車両 |
初度検査年月から 13年が経過した車両 |
軽貨物自動車 (営業用) |
3,000円 | 3,800円 | 4,500円 |
軽貨物自動車 (自家用) |
4,000円 | 5,000円 | 6,000円 |
納税には、各市町村を管轄する税事務所から発送される納税通知書を使用します。該当車両の名義変更や住所変更を行った際には、納税通知書の変更手続きが必要です。
②軽自動車税(環境性能割)
新車や中古車を購入した際に納める税金です。自動車税事務所等で新規登録する際に納付します。課税額は自動車価格の0〜2%であり、車両の環境性能によって異なります。
国が定めている燃費基準をクリアした車両を対象とし、環境に配慮した環境性能基準が高ければ高いほど、税額が安くなるシステムです。
軽貨物自動車における軽自動車税(環境性能割)額(参考)
車種区分/ 燃費要件 |
電気自動車 | 平成27年度燃費基準 +25%達成車 |
平成27年度燃費基準 +20%達成車 |
平成27年度燃費基準 +15%達成車 |
それ以外の 貨物軽自動車 |
軽貨物自動車 (営業用) |
非課税 | 非課税 | 0.5% | 1% | 2% |
軽貨物自動車 (自家用) |
非課税 | 非課税 | 1% | 2% | 2% |
③自動車重量税
車両の重量等に応じて、税額が設定されている税金です。車両の新規検査や車検の際に、車検証の有効期間に必要な金額(車検期間2年の場合:年間のベース金額×2)の支払い義務が生じます。
軽貨物自動車の自動車重量税は一律であり、年間3,300円です。ただし、車両の新規検査から13年が経過すると年間4,100円、18年が経過すると年間4,400円に増税されます。
〈参考〉総務省 地方税制度
軽貨物(4ナンバー)のメリット
軽貨物自動車には、他の車両にはない様々なメリットがあります。主な内容は以下の通りです。
維持費(税額)が安い
車両の維持には様々な費用が発生します。中でも最たるものは税金です。軽貨物自動車の税額(自動車税や、自動車重量税)は、普通自動車などに比べて安く設定されており、経済的優遇を受けられます。
また、エコカー減税など、国が推進している減税制度の対象車両を購入・使用すれば、さらに維持費を節約することが可能です。
車両価格が抑えられる
軽貨物自動車は運搬用の需要が高く、装備や備品の品質が必要最低限に抑えられたモデルも多く販売されています。そうしたモデルの多くは、新車の車両価格が安く設定されています。
物流・運搬事業に従事する個人事業主にとって、車両の購入費用や乗り換え費用を安く抑えられる点は、大きなメリットでしょう。
物流・運送業向けの車両構造
荷物を積載・運搬することに特化した車両構造も大きなメリットです。ワンボックスタイプやトラックタイプ、特殊車両タイプなど、用途に合わせて選択できます。
上述した軽貨物自動車の条件を満たした車両であれば、一般的な軽乗用自動車に比べて効率的に配送作業をこなせるでしょう。
車両サイズが小ぶりであり、小回りが利く点も見逃せません。交通量の多い道路や、道幅の狭い入り組んだ住宅地などの運転にも適しています。
まとめ
軽自動車に分類される軽貨物自動車は、物流・運送事業に適した車両です。購入・使用を検討する際には、科せられている税金の種類や車両のスペックを把握し、自分に適した車両を選択してください。