2024.09.30
運送業界
高速道路におけるトラックの制限速度|2024年4月から最高速度が引き上げに
2024年4月から、高速道路におけるトラックの制限速度が引き上げられました。従来の最高速度は80km/hでしたが、現在では90km/hになっています。
なぜ、高速道路におけるトラックの最高速度は引き上げられたのでしょうか?この記事では、高速道路の最高速度を紹介しつつ、トラックの制限速度が引き上げられた背景や懸念点について解説していきます。
目次
高速道路の最高速度
こちらでは高速道路の最高速度について、トラックの制限速度引き上げを交えて解説していきます。
トラックの制限速度は2024年4月から引き上げに
2024年4月から、高速道路におけるトラックの制限速度が、従来の「80km/h」から「90km/h」に引き上げとなりました。
令和6年(2024年)4月1日から、高速自動車国道における大型貨物自動車等の最高速度が90km/hに引き上げられました。 最高速度が引き上げられた車種は、大型貨物自動車と特定中型貨物自動車です。トレーラー、大型特殊自動車及び三輪の自動車は、80km/hのまま変更ありません。 ※一部抜粋 出典:高速道路|警察庁Webサイト |
対象は、いわゆる「大型トラック」や「車両総重量が8t以上の中型トラック」の貨物車両です。
対象車両 | 内容 |
大型貨物自動車 (大型トラック) |
車両総重量:11t 最大積載量:6.5t以上 |
特定中型貨物自動車 (車両総重量が8t以上の中型トラック) |
車両総重量:8t以上 最大積載量:5t以上 |
高速道路の最高速度一覧
大型貨物自動車や特定中型貨物自動車の最高速度の引き上げにより、高速道路の制限速度が細かく変わりました。
高速道路における車両ごとの最高速度一覧は、下の表を参考にしてください。
車両 | 最高速度 | 最低速度 |
・大型乗用自動車 ・中型自動車 ・普通自動車 ・大型自動二輪車 ・普通自動二輪車 |
100km/h | 50km/h |
・大型貨物自動車 (大型トラック) ・特定中型貨物自動車 (車両総重量が8t以上の中型トラック) |
90km/h | |
・トレーラー ・大型特殊自動車及び三輪の自動車 |
80km/h |
参考:道路交通法 | e-Gov 法令検索
トラックの制限速度が引き上げられた背景
トラックの制限速度が引き上げられた背景には、物流業界の「2024年問題」が大きく関係しています。2024年問題とは「働き方改革」の一環で、労働時間の上限が設けられるようになりました。
トラックドライバーは、長時間労働が当たり前の世界でした。しかし、近年では社会全体で長時間労働の是非が問われています。物流業界では、トラックドライバーの長時間労働の課題を解決するために、1年の労働時間が960時間という上限が設定されました。
しかし、トラックドライバーは慢性的な人手不足に陥っています。人手不足に加えて、トラックドライバーの労働時間に上限が設けられたため、以下のような懸念点が出てきたのです。
- ●1日に運搬する荷物が減少する
- ●運搬量が減少することで、運送業界の売上・利益が減少する
- ●荷物の到着の遅延が発生する
これらの懸念点を少しでも解消するために、高速道路におけるトラックの最高速度が引き上げられました。長距離運転をするトラックにとって、高速道路の利用は欠かせません。
高速道路における、トラックの最高速度を引き上げるで、目的地へのトラックの到着が速くなり、少しでも業務の効率化が解消されることが期待されています。
制限速度の引き上げによる懸念点
トラックの制限速度が引き上げることで、目的地への到着が速くなることが期待される一方、トラックドライバーの緊張感やプレッシャーが増すことが懸念されています。
最高速度の緩和によって、顧客や運送会社が「早く荷物を運べる」という考えが芽生えることで、目的地への到着を過度に求めることで、トラックドライバーに圧力がかかります。
そこで、焦っているドラックドライバーが頻繁に追い越し車線を利用したり、煽り運転をしたりすると、交通事故が増加する懸念があります。
また、労働時間の上限が設けられたとしても、今まで以上に緊張感を持って運転することになると、トラックドライバーに余計な疲労が出たり、精神的負担が増加したりすることが考えられるでしょう。
まとめ
今回はトラックの高速道路における、制限速度引き上げについて解説しました。大型トラックには、「スピードリミッター(速度抑制装置)」の取り付けが義務化されています。荷物を早く届けなければいけないプレッシャーから、リミッターを解除するのは絶対にやめてください。最高速度は必ず守り、安心安全に荷物を運搬しましょう。