2024.05.27

飲酒対策

飲酒運転でひき逃げ!罰則や賠償責任について解説

飲酒運転でひき逃げ事故を起こした際の罰則についてご存知でしょうか? 日本国内では飲酒運転に対する厳罰化が進んでおり、発覚した際には相応の罰則が科されます。交通事故を起こした場合には、飲酒に関わる罰則に加えて様々な処罰が予想される飲酒運転。

この記事では、交通事故の中でも悪質な「飲酒運転によるひき逃げ」に関し、罰則や賠償責任について解説します。

目次

飲酒運転の罰則と行政処分

飲酒運転が発覚した際には、運転者本人や関係者に対し、以下の罰則や行政処分が下されます。

飲酒運転者本人に課せられる罰則と行政処分

 
酒酔い運転 5年以下の懲役または100万円以下の罰則
酒気帯び運転 3年以下の懲役または50万円以下の罰則
 
 
 
酒酔い運転 35点
酒気帯び運転
(呼気1リットル中のアルコール濃度0.25ミリグラム以上)
25点
酒気帯び運転
(呼気1リットル中のアルコール濃度0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満)
13点
 

飲酒運転者以外(関係者)に課せられる罰則

 
車両提供者に対する罰則
運転者が酒酔い運転 5年以下の懲役または100万円以下の罰則
運転者が酒気帯び運転 3年以下の懲役または50万円以下の罰則
 
 
酒類の提供者や車両の同乗者
運転者が酒酔い運転 3年以下の懲役または50万円以下の罰則
運転者が酒気帯び運転 2年以下の懲役または30万円以下の罰則

〈参考〉警察庁 みんなで守る 「飲酒運転を絶対にしない、させない」
 

飲酒運転による人身事故の罰則と行政処分

飲酒運転によって交通事故を起こした場合には、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(自動車運転処罰法)」が適用されます。

①過失運転致死傷罪

車両の運転中に必要不可欠な注意や確認を怠ったことにより、人を死傷させた場合に科される罰則です。
 
被害者が死亡した場合には「過失運転致死罪」、怪我を負わせた場合には「過失運転致傷罪」に該当します。飲酒の有無に関わらず、一般的な交通事故に対して広く適用される罰則です。

 
罰則
7年以下の懲役、もしくは禁錮または100万円以下の罰金
行政処分
被害者の状態 加害者の過失の場合 それ以外の場合
死亡 20点 13点
障害 13点 9点
治療期間30日以上3ヶ月未満 9点 6点
治療期間15日以上30日未満 6点 4点
治療期間15日未満 3点 2点
 
 
ただし、交通事故の内容次第(飲酒や免許の有無、その他の道路交通法違反など)により罰則が加重される場合があります。

②危険運転致死傷罪・準危険運転致死傷罪

一般的な不注意や操作不良など過失による運転ミスではなく、一定の危険な状態で車両を運転し、人を死傷させた場合に科される罰則です。
 
被害者が死亡した場合には「危険運転致死罪」、怪我を負わせた場合には「危険運転致傷罪」に該当します。飲酒運転による交通事故に危険運転致死傷罪が適用されるのは、アルコールの影響により正常な運転が困難であると認められた場合です。

 
罰則
危険運転致傷:15年以下の懲役
危険運転致死:1年以上の有期懲役
準危険運転致傷:12年以下の懲役
準危険運転致死:15年以下の懲役
行政処分
被害者の状態 点数 免許欠格期間
致死 62点 8年
致傷:治療期間3ヶ月以上または後遺障害 55点 7年
致傷:治療期間30日以上 51点 6年
致傷:治療期間15日以上 48点 5年
致傷:治療期間15日未満 45点 5年
 

また、交通事故を起こした時点では危険運転に該当しない事例でも、時間の経過と共に危険運転と同様の状態に陥ると判断された場合や、酒気帯び(酒酔いよりも軽度の状態)による事故の場合には、「準危険運転致死傷罪」が科される場合があります。

③アルコール等影響発覚免脱罪

飲酒運転によって人身事故を起こした場合、「アルコールの影響有無や飲酒の程度が発覚することを免れる目的の行為」が、認められた際に科される罰則です。
 
具体的には、事故後のアルコール摂取、事故現場を離れて体内のアルコール濃度を減少させる行為などが該当します。

被害者を救護しなかった(ひき逃げ)場合の罰則

飲酒運転によって交通事故を起こした際に、想定される罰則について解説してきました。ただし、事故現場から逃走(ひき逃げ)した場合には、さらに罰則が追加されます。

救護義務違反

道路交通法には、交通事故の当事者に対して死傷者の救護義務が定められています。救護義務を放棄し、事故現場から逃走するひき逃げ行為は救護義務違反の対象となります。

 
救護義務違反の罰則
一般的な交通事故の救護義務違反:5年以下の懲役または50万円以下の罰金
運転者が原因(飲酒等)となった交通事故の救護義務違反:10年以下の懲役または100万円以下の罰金

報告義務違反

交通事故を起こした際には、警察への報告義務も課せられています。飲酒運転によって交通事故を起こし、ひき逃げ行為が認められた場合には報告義務違反が成立します。

 
報告義務違反の罰則
報告義務違反:3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金

飲酒運転でひき逃げを起こした際の具体的量刑は?

飲酒運転によってひき逃げを起こした際には、同時に複数の罰則が科せられます。飲酒がらみの交通事故には併合罪(罪が確定していない二つ以上の罪)が適用される事例が一般的です。
 
量刑(どのくらいの罪に問われるのか)は、事故を起こした経緯や犯してしまった罪の数により変動します。
 
飲酒運転によって交通事故を起こし、ひき逃げを犯してしまった場合には、飲酒運転による罰則に加え、過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪、救護義務違反やその他の道路交通法関連罰則を科せられる可能性が高いでしょう。
 
抵触したすべての罪に対する罰則が、合算されるわけではありません。ただし、併合罪により罰則の加重は免れないことから、一般的な交通事故に比べて厳罰に処されます。

賠償責任(民事責任)について

交通事故を起こした際には、刑事責任だけでなく民事責任も追求されます。民事責任とは、交通事故により被害者に損害を与えた際に発生する損害賠償責任です。
 
交通事故の場合には、加入している保険(強制保険および任意保険)を利用して賠償責任を果たします。
 
被害者に怪我や物損被害を与えてしまった場合には、治療費や入院費、休業中の補償金、破損した車両などに対して賠償責任が生じます。

遺族に対する賠償

死亡事故を起こした場合には、遺族に対する賠償責任が発生します。死亡慰謝料や死亡逸失利益、葬儀関係費用などから構成される賠償金には、3つの基準(強制保険基準・任意保険基準・弁護士基準)があり、それぞれに金額が異なります。

 
具体的な金額は、死亡人数や扶養の有無、生前の経済状況、被害者側の過失割合などを総合的に判断した上で決定されます。
 
遺族に対する賠償金の内訳事例
死亡慰謝料
死亡逸失利益(生活費・勤続年数・就労可能年数などから算出)
葬儀費用
加害者・被害者双方の過失割合 など

※基準や限度額は強制保険・任意保険・弁護士基準によって異なる

まとめ

飲酒運転によるひき逃げには、厳格な法的罰則が科せられます。加害者・被害者双方にとってメリットは一つもありません。車両を運転する際には、飲酒を控えることはもちろん、日頃から徹底した安全運転に努めなければなりません。

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