TIPS 飲酒マメ知識

01 酔いのメカニズムとは

アルコールの吸収と分解の仕組み、悪酔いや二日酔いの原因

口から入ったアルコールは、約20%が胃で、約80%が小腸で吸収され、血液にはいると数分間で全身に行き渡ります。血液に入ったアルコールが脳に到達すると、脳の神経細胞に作用し、活動に必要なエネルギー源を不足させる事態に。そしてその働きを抑制し、麻痺させると言われています。結果、酩酊状態になる。これが酔いのメカニズムです。体内に入ったアルコールは、ほとんどが肝臓で代謝されます。肝臓では、アセトアルデヒドからアセテート(酢酸)に分解され、そのアセテートは血液によって体中をめぐり、やがて水と二酸化炭素に分解され、そのままの形で尿・汗・呼気から体外に排出されます。しかし、このアセトアルデヒドは毒性が強く、十分に分解されないで体内に残ってしまうと、頭痛や吐き気などの症状が出ます。これが悪酔いや二日酔いなのです。

アルコール血中濃度と酔いの状態

爽快期
  • 血中濃度
    0.02%~0.04%
  • 酒量
    • ・日本酒(~1合)
    • ・ビール中びん(~1本)
    • ・ウイスキー・シングル(~2杯)
  • 酔いの状態

    さわやかな気分になる / 皮膚が赤くなる / 陽気になる / 判断力が少しにぶる

ほろよい期
  • 血中濃度
    0.05%~0.10%
  • 酒量
    • ・日本酒(1~2合)
    • ・ビール中びん(1~2本)
    • ・ウイスキー・シングル(3杯)
  • 酔いの状態

    手の動きが活発になる / 抑制がとれる(理性が失われる) / 体温が上がる / 脈が速くなる

酩酊初期
  • 血中濃度
    0.11%~0.15%
  • 酒量
    • ・日本酒(3合)
    • ・ビール中びん(3本)
    • ・ウイスキー・ダブル(3杯)
  • 酔いの状態

    気が大きくなる / 大声でがなりたてる / 怒りっぽくなる / 立てばふらつく

酩酊期
  • 血中濃度
    0.16%~0.30%
  • 酒量
    • ・日本酒(4~6合)
    • ・ビール中びん(4~6本)
    • ・ウイスキー・ダブル(5杯)
  • 酔いの状態

    千鳥足になる / 何度も同じことをしゃべる / 呼吸が速くなる / 吐き気、おう吐がおこる

泥酔期
  • 血中濃度
    0.31%~0.40%
  • 酒量
    • ・日本酒(7合~1升)
    • ・ビール中びん(7~10本)
    • ・ウイスキー・ボトル(1本)
  • 酔いの状態

    まともに立てない / 意識がはっきりしない / 言語がめちゃめちゃになる

昏睡期
  • 血中濃度
    0.41%~
  • 酒量
    • ・日本酒(1升以上)
    • ・ビール中びん(10本以上)
    • ・ウイスキー・ボトル(1本以上)
  • 酔いの状態

    ゆり動かしても起きない / 大小便はたれ流しになる / 呼吸はゆっくりと深い / 死亡

上記の数値は血中アルコール濃度(%)となります。アルコール検知器「ソシアック」で表示される数値は呼気中アルコール濃度(mg/l)となりますのでご注意お願い致します。
お酒の1単位(ビール<中びん>1本、日本酒1合、ウイスキーダブル1杯、焼酎0.6合)のアルコールを飲んだ時の血中アルコール濃度は、上記の表で0.02〜0.04(%)です。これは、呼気1リットル当たりのアルコール量に換算すると、0.10〜0.20mg/lに相当すると言われております。

02 お酒を楽しむための5つのルール

RULE 01 食べながら楽しく飲む。

適量のお酒はストレス解消にもつながります。仲間や家族としゃべりながら、笑いながら楽しく飲むのがベスト。また、空腹でお酒をたくさん飲むと、胃腸の粘膜を荒らしたり、アルコールが吸収されやすいために急激に血中アルコール濃度が上がり、健康を害することも。必ず食事を摂りながら飲みましょう。

RULE 02 マイペース、マイキャパシティで。

ピッチを上げて飲むと、血液中のアルコール濃度が急に高くなり、アルコールによる体の障害が生じやすくなります。とりわけイッキ飲みはアルコール中毒から死につながる危険性も。自分のペースでゆっくり飲みましょう。もちろん、飲む量も自分のキャパシティで。アルコール代謝能力には個人差があり、人によって適量は違います。

RULE 03 やめよう、きりなく長い飲み続け。

2単位のお酒(ビールなら<中びん>2本、日本酒なら2合、ウィスキーダブルなら2杯)を肝臓で分解するのに平均6〜8時間前後かかると言われます。長い時間飲み続けると、自分の適量を超えて酒量が増えてしまい、二日酔いの原因となります。ほどほどの時間で切り上げるようにして、節度ある飲み方をこころがけましょう。

RULE 04 薬と一緒はNG!

お酒と一緒に薬を摂取すると、薬の作用がなくなったり、逆に強くなるなど危険です。鎮痛剤や風邪薬と一緒に飲むと胃潰瘍を起こしやすくなるとも言われています。薬と一緒にお酒を飲むのは避けましょう。

RULE 05 週2日の休肝日、定期検診も忘れずに。

アルコールを分解するために、就寝中も肝臓は休みなく働いています。そんな働き者の肝臓に、週に2日は休息を。また、肝機能の検査を定期的に受け、肝臓の健康状態を確かめることも大切です。

努力して飲めるようなるのはウソ!
女性は特に要注意です。

肝臓でアルコールが分解される際の酵素ALDHには1型と2型があり、日本人の半数近くが生まれつき2型の活性機能が低いか欠けています。このタイプはアセトアルデヒドの分解能力が 低いため、少量のお酒でもアセトアルデヒドが体内に蓄積され、悪酔いしやすいのです。つまり、お酒に「強い」「弱い」は、体質によるもの。体質は遺伝によるので、努力で飲めるようにはなりません。
また、女性は男性に比べてアルコール代謝能力が劣ると言われていて、一般的に女性は男性よりもお酒に弱く、酔いやすいのです。そのため、女性が過度にお酒を飲み続けた場合、男性の半分ほどの期間で、アルコールの害を受けてしまいます。

03 こんな時の運転は絶対ダメ

CASE 01 ビールを1杯飲んだ。
全然酔っていないと思う。

アルコールが体内に入ると、胃・小腸から血管を通って脳に到達するまでに数十分かかります。そのためお酒を飲んだ直後は酔いの兆候は出ませんが、それを酔っていないと勘違いしてはダメです。

CASE 02 前の晩に深酒をした。
でも、眠ったから運転できそう。

アルコールの代謝には、飲んだ量に比例して時間がかかります。眠ったからとはいえ、体内のアルコールがなくなったワケではないのです。深酒の翌日の運転は避けましょう。

CASE 03 日本酒を1合だけ飲んだ。
3時間経ったので運転できると思う。

平均的な人で日本酒1合、あるいはビール中びん1本のアルコールが体内から消えるまでに最低3〜4時間かかると言われています。しかし代謝時間には個人差があるため、少量でも、お酒を飲んだ後は運転しないように。

CASE 04 ビールの中びん1本なら
「酒気帯び運転」にはならないだろう。

ビール中びん1本を飲んだ時の血中アルコール濃度は、0.02~0.04g/dlで、呼気1リットル当たりのアルコール量は、0.1~0.2mgに相当します。道路交通法では、呼気1リットル中0.15mg以上検知した場合が「酒気帯び運転」とされています。